読了

『水郷から来た女』

ずいぶん以前に、御宿かわせみシリーズ10巻あまりは読んでいたのだが、先日、本棚にさしてあった1巻に目が止まって、読み返してみた。以前に読んだ時には気付かなかったが、江戸の市井の風俗が各話の隠し味になっているのに気づいて、図書館で2巻以降を借り…

『東海道四谷怪談』と『鶴屋南北』

今月の納涼歌舞伎は、なんといっても勘太郎くんのお岩さまに注目している。ということで、歌舞伎オン・ステージシリーズの『東海道四谷怪談』を、まずは予習のために読んだ。 この芝居、何度も見ているのだけれど、台本を読み直してみると、気づいていなかっ…

『東京文芸散歩』

偶然ひょっこり積ん読の山から顔を出していたのと眼があったので、外出の供にした。 あーあ、昨日これを持っていれば、日本橋あたりでウロウロするのにちょうどよかったなぁ〜、とかもう1週間早ければ、谷中あたりを歩くのによかったなぁ〜、といった後悔が…

『たべる しゃべる』

ずーっと読みかけのままになっていたのを引っ張り出して読了。高山なおみさんの日記本もそういえば、2巻がどっかにあるはずだよなぁ…。たべる しゃべる作者: 高山なおみ出版社/メーカー: 情報センター出版局発売日: 2006/07/25メディア: 単行本購入: 1人 ク…

『平松洋子の台所』

そうそう、ブリキの米びつ。実家ではもう何十年とブリキの米びつが現役で働いている。そして、ここ数年は、実家に帰ると母から「悪いんだけど、お米を米びつに移してくれない?」と頼まれるのが何か月に一度の行事となっている。 スーパーで買ってきたお米の…

『おいしい日常』

単行本が出たときに、読んだのだけれど、引越しの時か何かに処分してしまった1冊。 こんなふうに網でパンを焼くのも、美味しそうだわ!なんて思って、駅のパン屋さんでパンを買ってきたのだけれど、なんと、我が家にはバターもジャムもなかったよ…。トホホ。…

『帝都東京・隠された地下網の秘密』

坂崎重盛さんの本で紹介されていたので、「ブ」で見かけてゲットしておいてから、かれこれ半年? 題材としては、すごく面白いのだけれど、わたしの頭が悪いからなのか、著者が何を言いたいのかが、すんなり入ってこない…。 もっと違う書き方をしてくれたら、…

『マイ・ラスト・ソング』

久世光彦さんには、一度、赤坂の街で遭遇したことがある。独特の空気感を漂わせて歩いていらしたので、その瞬間にすぐに久世さんとはわからなかったのだけれど、通りすぎて1拍おいて「あ、久世さんだ!」とわかった。 久世さんのドラマは子どもの頃に「寺内…

『焼き餃子と名画座』

すっかり、平松洋子さんづいている。食べ物の話からこれだけ、いろんなことに広げていける展開力、そして、細かな描写に使われる言葉の選び方の妙に魅せられて、ついつい別の著書が読みたくなる書き手だなぁ。 そして、確実に食べたいもの、買いに行きたいも…

『世の中で一番おいしいのはつまみ食いである』

平松さんのエッセイを立て続けにもう1冊。こちらは、「手」が主役のエッセイ集。つまんだり、こねたり、たたいたり、割いたり、むしったり…。手にはこんなにいろんな技があったのか!ということに、改めて気付かされた。そして、庖丁できれいに切ること=おい…

『おもたせ暦』

とりたてて食いしん坊というわけでも、ましてや美食家などではない。基本的に、リーズナブルなお値段で不味くなければOKよ、という程度の人間である。 でも「よし、今度国立劇場に行って時間が空いたら、ローザー洋菓子店にクッキー(あわよくば、シュークリ…

『松緑藝話』

初代尾上松緑じーちゃんの芸談集。高麗屋三兄弟の末っ子で、六代目菊五郎に預けられたのが、松緑じーちゃん。長兄は海老様こと十一代目團十郎、次兄が松本白鸚になった八代目幸四郎。 松緑じーちゃんは、戦争に行った話を折にふれてなさっていたので、こうし…

『歌舞伎の検証』

かなり学術的な内容もふくんでいるので、すべてがすんなり理解できたというわけではない。そんな中で「え!」と驚く通説の真相があって、びっくりした。 たとえば。某著名俳優の代数問題。実は正確に数えると通説とは食い違うのだけれど、それを某事典の項目…

『暁英』

北森鴻さんの絶筆となった作品だそうだ。北森さんらしく、いろんなうんちくが詰まっていて、それがまた謎解きのカギになってきて、やっと着地するところが見えてきたかな?というところで、終わってしまったのが、本当に残念だ。 タイトルになっている暁英と…

『ラクをしないと成果は出ない』

実家近くのスーパーに入っている書店で購入。そのまま読み始めて、帰りの電車の中で読了しました。 日垣さんの本は、たぶん2冊目。大変明快な論調でした。 お金を節約するつもりの立ち読みは、時間のムダ、というのは、確かにそうだなぁ〜と思いましたよ。ま…

『逃げ水半次無用帖』

久世光彦さんの時代物です。しかも捕物帳!ということで、ずいぶん前に入手はしていたのですが、なんとなく読むきっかけを外したきり、積ん読になっていたのでした。たまたま、他の本を探していたときに、棚から発掘したので、やっと読み始めることができま…

『警官の血(下)』

いやはや、大河ドラマみたいな作品でした。とはいっても、終戦直後からの父子3代警察官の話ですが。 おじいさんの死の謎、それを解明しようとしていた父も、謎めいた死に方をし、息子が解き明かしてみたら…。 息子さんのその後は、それはそれで作品になりそ…

『仕事の成果が激変する知的生産ワークアウト』

いくつか、これはいいかも!と思った点があったので、さっそくやってみることに。 その1 日経新聞朝刊の「春秋」を書き写す。 その2 「春秋」に出てきた用語や固有名詞を辞書で調べる。また、文章の構成を解析する。 その3 硬い本を1冊、カバンの中に入れる→…

『初代都太夫一中の浄瑠璃』

先月、丸善日本橋店に行ったときに、偶然発見した本。うーん、お勉強から遠ざかったため、なかなか理解できない…。とりあえず1回、無理やり最後まで読んでみた。 僧侶から還俗して浄瑠璃語りになった、ってかなりドラマチックな人生ですね。竹本義太夫とだい…

『バトラー サイモン』

歌舞伎座の表方にいらした吉積サイモンさんが、書かれた本です。もっと歌舞伎座のことがいろいろと読めるのかしら?と思っていたので、ちょっと残念でした。 やはり「運も実力のうち」だな、というのをつくづく感じました。チャンスが目の前に降ってきたとし…

『警官の血(上)』

ドラマ化されたものは、途中の回を途中から見たというハンパなわたくし。この手の小説はそろそろ卒業しようと思っていたのですが、今週、長時間列車に乗る用事が発生し、駅中の書店でふと思い立って手にとったのがコレでした。 佐々木譲さんの作品を読むのは…

『坂東玉三郎 歌舞伎座立女形への道』

中川さんは、膨大な活字資料を読み込んで、そこから論を展開して行くというスタイルの書き手。それだけに、自由に論を展開できるというメリットもあるけれど、当事者の証言を聞いたわけではないので、ある部分は推論になってしまう。それだからこそ、面白く…

『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』

灯台下暗し書店で、ついふらふらと購入した(笑)。嶋浩一郎のアイデアのつくり方 (ディスカヴァー携書)作者: 嶋浩一郎出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2007/02/25メディア: 新書購入: 2人 クリック: 43回この商品を含むブログ (55…

『江戸演劇史(上)』

面白いんだけど、自分の勉強不足のせいで、なかなか読み進めない…。いろいろと発見もあったし、教わったことたくさんだし、もう少し勉強が進んだらまた、読み直したいなぁ。 とりあえず、下巻をまずは通読しよう。江戸演劇史(上)作者: 渡辺保出版社/メーカー…

『勘三郎、荒ぶる』

襲名直前に出た『さらば勘九郎』に、その後雑誌に掲載された海外公演のことを加えて文庫化。ちょこっと言葉遣いの間違いなどでキニナルところがあって、幻冬舎の校閲、大丈夫?とか思ったり…。勘三郎、荒ぶる (幻冬舎文庫)作者: 小松成美出版社/メーカー: 幻…

『私の「歌舞伎座」ものがたり』

保さんは、わが父親替り氏と同世代。初代吉右衛門さんをたくさん見た、っていうところが、やっぱり同世代だなぁと思う。保さんの思い出から紡がれる物語を読んでいると、もっともっと見ておけばよかった、歌舞伎座で歌舞伎を!という気持ちになる。 そして、…

「ぢいさんばあさん」

今月の歌舞伎座昼の演し物の予習に、青空文庫で「ぢいさんばあさん」をDLして読んだ。これが芝居になるの…???というぐらい、淡々とした物語だなぁ。でも、なんだかあったかい物語だ。 ちなみに、わたしはiPhoneで読んだ。アプリは「豊平文庫」。大辞林に連携…

『露の身ながら』

多田富雄さんの著作は、お能に関係したものをいくつか読んだことがあるが、柳澤桂子さんについては、お名前だけは存じ上げていたものの、お書きになったものを読むのは、初めて。原因不明の難病と何年も"共棲"されているそうで、その忍耐強さには頭が下がる…

『日々、きものに割烹着』

まずは、表紙の麗しい女性の2ショット写真に、ハートを鷲掴みにされる(笑)。こんな風に時を重ねて、きものを着て行けたらいいなぁ。 ここ数年の間に夜に送り出されたきもの本というと、たいていがハレのきもの(一見、普段のきものかと思っても、本当の意味で…

『大向うの人々』

歌舞伎好きにとって、大向うは歌舞伎には欠かせないものだなぁとは思っていても、その成り立ちや、声をかけている人たちのことについては、あまり知られていないのでは? 最近は、ちょっと大向うが多すぎて、しかもそれが、声を掛けている人の自己満足っぽく…