『JAMJAM日記』
山下洋輔さんの解説を読んで、なるほど〜!と。そして、『三文役者あなあきい伝〈PART1〉 (ちくま文庫)』『三文役者あなあきい伝〈PART2〉 (ちくま文庫)』も読むぞ!と意気込んだものの、すぐには出てこないこの悲しさ・・・。
劇団マールイ公演に出演することになった殿山さんは、まず顔合わせで宇野信夫さんの本読みに感動している。また、稽古場でこの芝居のプロデューサーを務める戸板康二先生と顔をあわせた殿山さんは
クリスティの「カーテン」はどうもぼくは―といったら、「スリーピング・マーダー」を読んでみなさいよ、とすすめられたので、ハイ!!と読んでみたら、この30年代後半のクリスティ作品は、ウーンなるほど、脂がのってるという感じで90点だわい。 P.217
と。そして、稽古の合間にミステリを読んでいる殿山さん、ハリイ・ケメルマンの『九マイルは遠すぎる』で、あとがきが戸板先生なので、「そこはかとなく罪が軽いような気もする、ヒヒヒヒ」なんて書いている。『九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)』、タイトルは知っているけれど、多分、読んでいないなぁ。また、この公演中に芸術院賞を戸板先生が受賞したとのことで
戸板康二さんが姿を見せると、アチコチからオメデトウゴザイマス!!の声が飛ぶ。戸板さんも何となくソワソワされているように見受けられる。オレはその著「塗りつぶした顔」をいただいた。
P.226
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また、ビクターの佐藤邦夫さんという人と会った殿山さんが、雑談で聞いてびっくりしたのが
佐藤さんと雑談してて、その少年時代の日本橋の生家の周辺には植草甚一、三木のり平、小林信彦の諸氏がいたんだときく。おどろき。日本橋というのはおかしな土地だな。谷崎潤一郎も生んでいる。 P.207
という話。そうか、植草さんやのり平さんも日本橋なんだ・・・。
ということで、『のり平のパーッといきましょう (小学館文庫)』を読まねば!という気分に。
敗戦直後のことだけど新橋の十仁病院の前に姉妹でやってる<蟻屋>という店があった。おしるこやコーヒーの甘いもの屋なのよ。どんな関係だか知らないけど、松竹大船の監督さんたちや新劇の連中や、文士や画家や、いろんな人たちが朝から晩までたむろしているケッタイな店やったな。この店のそのころの常連で天国へ去ってしまった人は、ええと、順不同でありますが、小野佐世男、宮田重雄、国枝完二、森雅之、桂文楽、清水将夫、織田政雄、細川ちか子―ということになります。 P.224
文楽師匠(もちろん、先代)のお名前を見つけて、わたしはびっくり。文楽師匠といえば『芸談 あばらかべっそん (ちくま文庫)』だけど、『八代目桂文楽落語全集―完全版(CD付き)』『わが師、桂文楽』なんていう本もありました・・・。
また、新藤兼人監督の「竹山ひとり旅」でのエピソードで
午前10時に新藤組が借りてる東京映画の録音室に行き「竹山ひとり旅」のアフレコをやる。オレと林隆三が道ばたで「大黒舞」というのを唄ったり踊ったりしてるのに高橋竹山さんが三味線を合わせてくれる。どうもうまくいかない。竹山師の三味線には文句のつけようがないんだけど、オレと隆三の唄が新藤監督の気に入らないんだ。何べんもテスト。和気アイアイと始めたのがシーンと白けてしまったがな、これが役者としてはツライとこよ。とどのつまりは、唄のカセット・テープをもらいウチで練習して後日アフレコという結論になる。 P.212-213
基本的に、津軽三味線はあんまり好きじゃないなぁと思っているのだけれど、高橋竹山師のは、別格だと思っている。生で聞いてみたかった・・・。
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ちなみに、『三文役者あなあきい伝』が出てこなかったので、お次は『はなしか稼業 (平凡社ライブラリー)』を持ち歩くことに。