小説なのか、随筆なのか
井伏鱒二の『かきつばた・無心状 (新潮文庫)』が浮上してきたので、外出のお供本に。まだ3篇しか読んでいないのだけれど、小説のようであり、随筆のようであり、とにかく優しい文章だなぁと思う。「おんなごころ」という作品では、太宰治と心中した女性と、元文藝春秋にいた石井桃子(って、あの石井桃子?)とを対比させて、心中した女性に対しては、厳しい見方をしているのだけれど、それでもただ彼女を切り捨ててしまうのではない。
そうそう、この「おんなごころ」の中に、青柳瑞穂の名前が出て来る。太宰は、青柳瑞穂にずいぶんと世話をやかせたらしく、瑞穂夫人が亡くなったのでそのことを仕事場に知らせに、井伏が行くのだ。それが「自分の義務だ」という。青柳瑞穂は、中央線沿線の文士たちの交流の要となった人だとある。最近、どなたかのBlogで青柳瑞穂のお孫さんが書いた彼の評伝の感想を読んだばかりだし、随分前に、岡崎武志さんが青柳瑞穂について書いていらしたのを、活字で読んだ記憶がある。今度は、青柳瑞穂の評伝が気になって来るなぁ・・・。またもや芋づるだ。
ちなみに「これは、小説なのか? 随筆なのか?」というのがちょっと気になって、解説を読んでみようと、ページをくったら、そこには小沼丹の名前が! 小沼丹もあれこれ読みたい本が積んであるはずなんだよなぁ・・・。
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