鏡獅子の胡蝶
海老蔵さんの復帰で沸く新橋演舞場七月大歌舞伎の夜の部を見た。
中幕の「鏡獅子」を見ていて、胡蝶の踊りは、可愛らしいのだけれど、実は、難しいんじゃないかな?と感じた。
そして、当代三津五郎さまが『坂東三津五郎 舞踊の愉しみ』で、胡蝶について言及されていたのを思い出した。以下、引用してみる。
当時すごいと思ったのは、宗家の振りと親父の振りと八重之助さんが教える振りとが、全部統一されていたところです。
(中略)
僕は胡蝶を六回踊っていますが、振りが変わったことはなかったですね。その後崩れに崩れて、今やってる胡蝶の振りは、僕らがやっている振りと、ほとんど一緒なんですけれど、難度というか、レベルが下がっています。稽古が短いこともあり、ふたりで踊るものなので、踊れないほうに合わせて行ってしまいます。
第1章 舞踊の基本 p.p.24-25
八重之助さんが、踊りの稽古までもつけていらしたのか。そして、三者の振りが寸分違わずに継承されていたというのは、すばらしいな。
さらに、引用の続き
僕らのときは、チビでは胡蝶は無理だとされていました。ですからうち親父もずいぶん大人になってからも、胡蝶を踊っていました。歌舞伎では、大人のお弟子さんが踊る場合もあります。
小学校低学年の子では、ちょっと胡蝶はむずかしい。振りも動きも、ヨタヨタしているのではダメだと思います。だいたい小学校高学年になってからやるものです。十歳以下の子がやるというのは、まず僕らの頃はなかったですね。「まだ胡蝶は無理だよ」ということで、みんなの見解が一致していました。
第1章 舞踊の基本 p.p. 25-26
そういえば、以前に、大人が胡蝶を踊るのを見たような記憶がうっすらと。
小さい子が踊っていると、たしかに可愛らしいが、それだけで済まない何か、がこの踊りにはあるのではないか?と今回見ていて感じた。
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