亀会千穐楽

今年を含めてあと2回で、とりあえず終了する「亀治郎の会」。今年は千穐楽のチケットをとったのだが、なんと後から、金・土の夜の部のあとにトークをやるという発表が…。うーむ、先に言ってくだされば…。まぁ大人の事情もあったのだろう。
今年は「葛の葉」と「博奕十王」という番組。女形の古典の芸を見せる演目と、狂言から叔父の猿之助さんが歌舞伎化した作品の復活再演という、ベクトルが真逆じゃない?!という演目の組み合わせ。
「葛の葉」は、文楽で最近見たばかりの演目だったので、前半は「あー、歌舞伎でやるとこうなるのか」という見方になってしまった。狐の本性を顕してからは、亀ちゃんの演じる狐が我が子を思って身悶える姿に、うるうる。やはり、亀ちゃんは女形が本役なんだなぁと改めて思った。
「博奕十王」は、うってかわって、お茶目な亀ちゃん全開。まず、緞帳が上がったら、地方さん全員が白い三角の額隠しをつけてる!!! 田中の家元のこんな姿、もう二度と見られないかも!と思いつつ、笑ってしまった。もう、これを見たらこれは理屈抜きで楽しむしかないなと。
そして、亀ちゃんが本舞台にかかったところで後見さんが登場すると、コウケンさんも額隠しをつけてる!!! 亀ちゃんと藤間宗家のお茶目な笑い顔が目に浮かぶなぁ。狂言の「博奕十王」は世田谷パブリックシアターで、萬斎さんの博打打ち、石田幸雄さんの閻魔様を見ていて、それはそれで面白かったのだけれど、亀ちゃんと宗家のお遊びの楽しさは、さらにその上を行っていた。お酒を飲ませてもらうために、歌を歌って踊りを踊るところには、江戸の流行歌オンパレード。さいころを使った博奕に興じる閻魔さまと赤鬼青鬼が可愛かった。
花道の引込みはいろんな六方を混ぜた、特別バージョン。最後は飛び六方もどきで引っ込む亀ちゃんに、客席からそれまでにもましてより大きな拍手が贈られた。
カーテンコールでは、亀ちゃんひとりが舞台中央に。客席ギリギリのところまで進み出た亀ちゃんが客席をじーっと見回していたので、みんな「何が起きるの?」と思って見ていたが、お辞儀をして終わり。タメが長いよw。
去年、一昨々年(一昨年は見られなかった)に比べると、ちょっと内容が軽いかなぁ?という気もしないではなかったが、「博奕十王」でたっぷり楽しんだので、よしとする。
さぁ、来年はいったい何を見せてくれるのか???
プログラムに引用されていた折口信夫「信太妻のはなし」所収は

折口信夫全集 第2巻 古代研究 民俗学篇1 (中公文庫 S 4-2)

折口信夫全集 第2巻 古代研究 民俗学篇1 (中公文庫 S 4-2)

浮世絵など参考資料は
瀬川路考(三代目菊之丞)の葛の葉狐
葛の葉狐 中村芝翫・安部の保名 河原崎権十郎 - 国立国会図書館デジタルコレクション
ファイル:Yoshitoshi Kuzunoha.jpg - Wikipedia
当盛見立三十六花撰 信田の葛の花葛の葉狐 - 国立国会図書館デジタルコレクション