文楽一部・二部を続けて。
一部は二度目だけれど、二部は最初で最後。朝から花粉が盛大に飛んでいたようで、とにかくくしゃみと鼻水が…。はなはだ集中力にかけてしまった。
一部は、「摂州合邦辻」。
床本を読むと、玉手御前が求女に実は恋していた、という解釈はあんまりできないような気がするのだけれど…。そして、文楽の「合邦」は、あくまでも義理の息子を守るために自らの命を賭した女の、凄絶な生き方を描いている、ように感じられた、今回の咲大夫・燕三コンビの床だった。とはいえ、前回拝見した時にくらべると、なんとなく圧倒的な力技的なものが少し薄まっていたような気もするのだけれど…。
二部は、「関取千両幟」の曲弾きと、「小鍛治」の刀を鍛えるところが、Twitterなどで話題になっていた通り、みどりの典型みたいな番組。なんとなく収まりがよろしくないよなぁ…。だったら「関取千両幟」をもうちょっと見せて欲しかったような気もする。曲弾きは、藤蔵さんが話題になっていたけれど、実はツレの清志郎さんの方がアクロバティックな技をたくさん繰り出していたんじゃないか?というふうに見えたのだが。藤蔵さん、普段唸りが大きいので(笑)、あんまり思ってなかったんだが、実は、三味線の音はあのぐらいの世代の中では一番好きかも…と今回気づいた。
「小鍛治」。時々、槌音が間を外すのは、狙いなのか?(いや、そんなことはないと思うんだけど…)難しいのは、清十郎さんのBlogを読んで、十分理解しているのだけれど、やはり気になるなぁ。
「曲輪(文章)」。歌舞伎座で、仁左衛門玉三郎で見たのが、忘れられない。演目としては好きな方ではないのだけれど、あのたくさんの襖を開けながら出てくる仁左衛門さんの可愛らしさと色気があまりにも印象的だったのだ。上方和事って、こういうことを照れずにできなきゃダメなんだなぁ〜と思ったのだった。

緋色からくり―女錠前師謎とき帖〈1〉 (新潮文庫)

緋色からくり―女錠前師謎とき帖〈1〉 (新潮文庫)

読了。田牧大和さん、面白いわ!