2014年に読んでよかった!ベスト10(ほぼ読んだ順)

いよいよ今年も大晦日になってしまいました。
一応、掃除・洗濯・おせち料理的なものの準備も終えて、夕食に年越しそばのようなものも食べて、さて、と思ったら23時。ながらで見ていた紅白歌合戦も、あと2曲!とか言ってます。
今年は(も、か?)読書記録をチェックしてみたところ、前半にあまり本を読まなかったので、ほとんどこの半年に読んだ本の中から、ですが、読んでよかった!と思えた本をまとめておこうと思います。ほぼ読んだ順に、こんな感じ(内容がよかった順ではありません)。

落語家論 (ちくま文庫)

落語家論 (ちくま文庫)

だましゑ歌麿 (文春文庫)

だましゑ歌麿 (文春文庫)

東京の流儀

東京の流儀

半可心中 濱次お役者双六 (講談社文庫)

半可心中 濱次お役者双六 (講談社文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

続・酒中日記

続・酒中日記

千本桜―花のない神話

千本桜―花のない神話

生きるための料理

生きるための料理

『落語家論』は、今年、人間国宝に認定された小三治さんの著書ですが、国宝認定前に自宅の書棚から発掘して読みました。小三治さんの落語がなぜわたしにとって面白いのか、ということを確認することができました。また、「芸は盗むもの」、「稽古や前座の修行のほんとうの意味」といった、小三治さんの噺家としてのベースになっている考えがストレートに書かれていて、興味深かったです。
『だましゑ歌麿』は、久しぶりに読んだ高橋克彦さんの作品ですが、実在の人物が作中で活き活きと動いている様が楽しかったです。これをきっかけに、平岩弓枝さんの「御宿かわせみシリーズ」を再読したりしました。
『東京の流儀』。最近すっかりご無沙汰していた著者・福田和也さんですが、その前に読んでいた林望さんの本で語られることのストイックさに、おっしゃっていることは正しいな、合理的だな、とは思うにもかかわらず、どうにも居心地悪さを感じてしまっていたんだな、ということを気づかせてもらいました。自分にとって価値あるモノとは?ということを、改めて考えてみるきっかけになりました。まぁ、福田さんは同世代人なので、広い意味で感覚的に近いものがあるのでしょう。このあと何冊か福田さんの著書を読み、ある意味、自分の原点回帰のきっかけになった1冊かもしれません。これがきっかけで、坪内道にふたたび目覚めたという1冊です。
『半可心中』。ここ2年ぐらい注目している、女流時代小説作家さんの、新刊文庫です。主人公が大部屋の女形という設定が、上手く活かされたシリーズ作品で、毎回、主人公・濱次が騒動に巻き込まれつつ、役者として成長していくのが、面白いです。今回は、大部屋役者にはありえない大役(立女形が演じる役の代役)が回ってくるのだけれど…というお話。濱次をもり立てる周囲の人たちのキャラクターもよくて、次回作が楽しみです。
『知ろうとすること』は、物理学者の早野龍五さんと糸井重里さんとの対談です。東日本大震災の直後からTwitter原発事故について発信していらした早野先生は、歌舞伎好きでもいらっしゃるので、Twitterでもフォローしていましたので、ほぼ日でお二人が対談されたことも知ってはいたのですが、そちらは読んでいなかったので、本としてまとまったのを機に、読みました。福島第一原発事故による放射能汚染について、客観的なデータを素人にもわかるよう読み解き、身近な例や早野先生自身の体験談を上げながら導き出される状況の説明は、今まで「何を信じればいいの?」と思っていたわたしにとっては、とても明快に納得できるものでした。
『続・酒中日記』。「本の雑誌」の方の連載は、今年後半のものは読んでいましたが、こちらは連載も読んでいないので、待望のツボちゃん日記の書籍化!ということで、読む前から自分の中ではとても盛り上がっていた1冊です。「読書日記」に比べると、お相撲や歌舞伎の話が多くて、また、当然、本に関する話題も出てくるので、酒飲みじゃないけど楽しかったです。あの「平成中村座」千龝楽の「髪結新三」をツボちゃんも見ていたんだ!という発見も。これをきっかけに、「SPA!」の連載をまとめた文壇アウトローズ対談

正義はどこにも売ってない-世相放談70選!

正義はどこにも売ってない-世相放談70選!

を本棚から発掘して読みました。
『千本桜 花のない神話』。今、もっとも信頼する劇評家・渡辺保さんの旧著です。「義経千本桜」という文楽・歌舞伎の三大名作の一つに数えられる作品が抱える謎を、保さん独自の視点で読み解いていく、というもの。さまざまな分野の文献からのアプローチと、この作品を現代にまでつなげてきた名人たちの工夫、という異なった視点での謎解きが重層的で、知的好奇心を刺激されました。『娘道成寺』や『忠臣蔵』といった保さんの著書同様、「いつか、こんな風に作品を読み解けるようになりたい!」という目標を再確認させてもらいました。
娘道成寺

娘道成寺

『一本刀土俵入』は、坪内道の私的課題図書です。「en-taxi」の長谷川伸特集で取り上げられていたのがきっかけで、探したところ、これと『瞼の母』はすんなり確保できたのですが、『沓掛時次郎』と『関の弥太っぺ』は品切れのようで、Kindle版で我慢しようかな?と思ったり。小林さんのまんがはまったく読んだことがなかったので、過去の作品の登場人物がキャスティングされている、という仕掛けの面白さについてはわかりませんが、表紙を見た瞬間に「猿之助さんのお蔦だ!」と思ったのですが、いかがでしょうか? 巻末に原作も掲載されていて、歌舞伎座の正月の演目のいい予習にもなりました。長谷川伸の本は、
瞼の母―長谷川伸傑作選

瞼の母―長谷川伸傑作選

を買おうと思いつつ、書店では見かけなくなってしまったので、ナイスなタイミングでした。
『生きるための料理』。かれこれ3年半ぐらい冷えとりをしています。靴下やレギンスの重ね履き、直に皮膚に触れるものは天然素材を着用する、といったあたりはすっかり習慣化しているのですが、食の面では迷いがあって、いろんなレシピ本を買っては作ってみる、ということをくり返していたのですが、この本を読んで、「砂糖やお酒は体を冷やす」というのを思い出しました。今、家にある砂糖・日本酒・みりん・砂糖をたっぷり使ったお菓子の在庫がなくなったら、買わないぞ!ということと、旬のものを、そのもの本来の味を楽しむ、ということに立ち返ることを決めさせてもらいました。スーパーやコンビニで、ついついスナック菓子を買ってしまったり、外出先で虫養いにと、スイーツを食べてしまったりしているのですが、たまには美味しいお菓子を食べるのもいいけれど、食事をしっかりとって、家にいる時は体を冷やさない間食を心がけよう!と決心しました。ちなみに、著者のたなかさんがオススメしている間食は、塩むすび・りんご・葛練りなどです。りんごもおむすびも大好きなので、面倒臭がらず、外出する時も、持っていける場合は、これらを持っていくようにしたいです。
『「自分メディア」はこう作る』は、超人気ブロガー・ちきりんさんの著書です。わたしはちきりんさんのことは、ほとんど知らなかったので、刊行直後に書店で平積みになっているのを見かけて「へぇ〜、この著者はどんな人なんだろう?」という興味から手にとってみたのですが、すぐには購入しませんでした。が、あちこちの書店で平積みになっているのを見ていて、気にはなっていました。改めて店頭で内容をパラパラっと見てみると、一時流行った「アルファブロガー」なる人たちとは一線を画した考えの持ち主でいらっしゃるらしい、ということや、「楽しいことだけをして暮らす」を実践中、というプロフィールを拝見して、これは読んでみたい!と思えたので、昨日購入して、一気に読みました。この本の後半でも、今までのエントリーの中から選りすぐりのものが読めるのですが、ブログの方もいくつかのエントリーを読ませていただきました。「なるほど!」という内容を、平易な文章で、しかもきちんとデータや実体験に基づいて、独自の考えを堂々と述べていらっしゃるのに、敬服しました。匿名にもかかわらず、多くの読者の信頼を獲得されているのに、納得しました。今年の締めにいい本に出会えたことを嬉しく思います。
さて、こんな感じで、2014年に読んだ本ベスト10(ほぼ、読んだ順で、良かった順ではありません)を振り返ってみました。
2015年は、どんな本と出会えるのか、楽しみです。