桜並木を通って「長屋の花見」

人形町らくだ亭に小満ん師匠がご出演ということで、銀座経由で人形町へ行ってきた。
ちなみに、我が家のご近所にも、結構桜はあるもので


「東京は桜の多い町ですねぇ」とさん喬さんがマクラで話していらしたのにも、強く頷いけた。
とはいえ、途中寄り道をした銀座では、ディスプレイじゃない桜は見かけなかったのだけれど、それは場所柄ということだろう。
地下鉄日比谷線人形町に着いて、駅の出口の階段をあがると、目の前に桜並木が出現。人形町の街路樹は桜だったのか!と初めて知った。
そういえば、桜の時期に人形町に来たことはなかった。私にとっての人形町界隈は、明治座の芝居を見に行くために訪れる町だからなぁ。
本日の目的地は、日本橋劇場なので、とりあえず、水天宮方面へ移動。工事中の水天宮さまの門まで来ると、こちらもまた桜並木だ。


風が強く吹くと、花びらが舞い散っている景色が、夕方の光に映えて綺麗だ。いわゆる「お花見」はもう何年もしていないが、町を歩くだけでも、十分、お花見ができるのだ、ということにここ数日で気がついた。
茶店で、ちょっとした作業をしながら時間調整した後、人形町らくだ亭の会場へ。
今日の番組で、特に楽しみにしていたのが、小満ん師匠の「長屋の花見」(先月のらくご@鶴川で、師匠のを聞いたのが、今年の初モノだった)と、一朝さんの「包丁」。
小満ん師匠の「長屋の花見」を聞きながら、江戸の町へタイムトリップして、長屋のみんなと一緒に、お茶けと沢庵の玉子焼き、大根のおこうこのかまぼこを食べている気分になった。
扇橋師匠はそういえば、お正月明けぐらいからこのネタを演っていらしたなぁ、なんていうことも思い出させてもらった。扇橋師匠の「長屋の花見」は、とにかくカワイイんだよなぁ、としか表現できないのが悔しいな。もっといい表現がありそうなのだけれど…。
そうそう、以前はこの噺に出てくる「番茶を水で薄めると、いいお酒に見えるものができる」というのが、イマイチわからなかった。しかし、鶴川で「長屋の花見」を聞いた後、家で番茶をいれていて「あー、そうか!」とやっと納得できた。たしかに、ある種の日本酒の色と、番茶を薄めた色とは、似ている。
中入り後は、一朝さんの「包丁」一席。江戸前の歯切れのイイ会話は期待通り。酔っ払った寅さんの唄が、ちょっと上手すぎるんじゃない?!という(一朝さんだから、当然なのだけれど)。寅さんという人物像を考えると、そこまで粋に唄っちゃうと、いい男になりすぎる気もするのだけれど、それは、後で冷静に振り返ってみての感想で、聞いているその時は、この唄でますます噺の世界に引き込まれていったこともまた事実だ。
これからは、ますます「包丁」を演るのは難しくなるんだろうなぁ、と思うと、今のうちに一朝さんたち世代から上の噺家さんの「包丁」を聴き比べておきたいなぁ。とはいえ、あとはどなたがこのネタを持っていらっしゃったっけ…。

五代目柳家小さん 名演集1 長屋の花見/道具屋/芋俵

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先代の小さん師匠のは、CDでしか聞いたことない。
六代目 三遊亭圓生(7)庖丁/洒落小町

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談志百席「夕立勘五郎」「庖丁」

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「包丁」といえば、やはりまずはこのお二人、だろうな。