團菊祭初日

朝からいいお天気だったので、傘を持たずに出たら、なんと歌舞伎座二部と三部の入れ替え時間に雨が…。小一時間で上がったけれど。

[歌舞伎] 團菊祭五月大歌舞伎 初日

三部通しは体力的にきついので、今日は二部と三部を。二部は海老蔵さんの「暫」と菊之助さんの「土蜘」。そういえば海老蔵さんの舞台を見るの、去年の例の明治座以来だ。演目のおかげもあってか、想像していたよりはよかったけれど、以前ほどにはアウラが感じられないような…。菊之助さんの「土蜘」、線の細さを感じるところはまだ少し残っているけれど、呂の声が利いていて、智籌と蜘蛛の精の怪しさがあってよかった。太刀持の丑之助くん、石神の大晴くん、お行儀よく、可愛らしく、良い子役だなぁ。そういえば、去年の團菊祭にも、きおいちょの「土蜘」が出たよねぇ。あの時は間狂言カットだったため、千穐楽にきおいちょ冷や汗もののハプニングがあったんだっけw。菊五郎家に連なるひとびとにとって「土蜘」は大事な演目なんだな、というのを改めて。しかーし、掛け声を3度も掛けた客が…。案内のお姉さんたちが必死に張本人を見つけようとしていたけれど、果たして? 集中してた気持ちが削がれるから、ほんと、やめてほしい。三部は「市原野のダだんまり」と「弁天娘女男白浪」浜松屋と稲瀬川勢揃い。けんけん弁天は、いかにも不良少年っていう感じがして、みっくん南郷との息も合って、ウキウキ楽しい浜松屋。橘太郎さんの番頭さん、東蔵さんの浜松屋幸兵衛がしっかり脇を固めていて、亀三郎くんの丁稚もお行儀よくテキパキとしてて、よかった。橋之助くん、なんかよくなったなぁ。ちなみに、三部は場内アナウンスで「大向うは禁止」って言ってた。今までは「ご遠慮ください」だった気が…。お相撲も大阪では力士の名前を大声で叫んでるお客さんが毎日大体いたのよね。”思わず”とは思えないんだよなぁ、どっちも。今はみんなが我慢して劇場や場所を閉めないことが優先事項だと思うんだけどなぁ。

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[蒐書] 「劇評」と「銀座百点」

「演劇界」休刊中に劇評空白期間を作らないため、歌舞伎座そばの演劇をメインにした古書店・木挽堂さんが始められた「劇評」という雑誌を四月大歌舞伎の千秋楽にゲットした。三月の歌舞伎座については児玉竜一さん・石山俊彦さん・上村以和於さんが、国立劇場については犬丸治さん、京都南座は寺田詩麻さんが書いておられる。コロナ禍以後「演劇界」でも連載されていた「劇界動向」を児玉さんが引き続き書いているのは、ありがたい。上村さんが自前で観劇されているという記述に、ちょっと驚いた。筋書に書いていらしたのでは? あれ、去年までだったのかしら? 同じ芝居について複数の評者のそれなりの分量の劇評が載っているというのは、ありがたい。新聞劇評は分量的に短かすぎて物足りないので。「演劇界」3度目の復活なるか? 

今月の「銀座百点」は、歌舞伎関係の記事は載っていないのだけれど、嵐山光三郎さんと奥田瑛二さんの百点対談が面白かった。奥田さんは瀬戸内寂聴さんに言われて俳句をはじめたというのにまず驚いた。奥田さんの俳名・寂明は、寂聴さんがつけたことについて、嵐山さんの「寂の字を入れたということは、相当見込まれたってことだな。そもそも寂という字は、今東光がつけたんです。今東光法名の”春聴”から聴、そこに弱をつけた。つまり、奥田さんは今東光の孫弟子にあたるということになるんですよ」というのに、またびっくり。奥田さんは以前はお酒を飲まないと俳句を詠まなかったといい、「数年前までは、俳句を詠むために一人でワインバーや小料理屋に通って、カウンターの端っこで飲みながら頭の中でこねくりまわして、できたと思ったらおかみさんに『メモ用紙ちょうだい!』って」。寂聴さんに「俳句を詠まないと、呑みに連れて行かない」と言われて始めたという俳句だからそうなっちゃったのか? 最近は、飲んでなくても詠むらしいが。