浅草の居酒屋

棚の”帆立て”が届く。
さっそく、組立開始。本を改めて入れていくが、同じスペースのはずなのに、棚板のレイアウトを変えたら、なぜか、同じ量のものが入りきらず。
結局、唯一の犠牲者となったテーブルの天板と段ボール箱を使って、CDはそちらに。

最初のうちは、ジャンル別、著者別に並べていたものの、途中から手抜きに。小説のコーナーは、特にグチャグチャ。
追々、並べ直すということで、本日の作業は終了。

昨日から今朝にかけて、山口瞳<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=00945854&volno=0000>『行きつけの店』</A>(新潮文庫)を読了。
山口瞳という人は、一度気に入った店ができると、とことんそこに通い詰め、店の主やスタッフと親戚付き合いをする。
まずは、店の雰囲気やそこで働く人の気働きを重視する。そこが合格点の店は、出てくる料理や酒も、悪いはずがないというのが持論だ。

この中で取り上げられた店で行ったことがあるのは、浅草の薮蕎麦だけだった。ここへ連れていって下さった方は、山口瞳さんの親戚だったことを、読みながら思いだした。もう、1年以上、電話の連絡すらしていないが、お元気だろうか? そういえば、浅草で「松風」という鬼平や秋山小兵衛がふらっと立ち寄りそうな、居酒屋にも連れていっていただいた。

この店は、どんなにお酒に強い人でも、1人3本以上は飲ませてもらえない。だから2人で6本。3人なら9本と、端から上限が決まっている。ビールでも日本酒でも同じく1本に数えられる。肴は、それこそ味噌とかもろきゅう、酒盗、塩辛といった本当の酒飲みが好むようなものだけだったような気がする。店は、コンクリートの土間に木のテーブルと椅子だけ。「ほろ酔い気分でお帰りください」という店主の心持ちが無言のうちに伝わってくるような店だった。

それほど”いけるクチ”ではない私は、多分「松風」には一度しか行っていないと思うのだが、不思議と心に残っている店だ。
「松風」は、今でもあの佇まいのまま、あるのだろうか?