北村薫さんは、エンタメ界の坪内師匠

北村薫さん三昧の読書が続いている。

『謎のギャラリー』は、本館自体もとても面白いのだが、いかんせん、わたしの”北村度”(○C かねたくさん)が低いので、3つの部屋に展示されている作品があると、そちらに飛ぶため、なかなか一気に読了とはいかない。

それにしても、北村さんの守備範囲の広さは、知れば知るほど、読めば読むほど、溜息がでてしまう。『謎の部屋』『こわい部屋』『愛の部屋』という3つの部屋に収録されている作品だけでも、作家も作品の傾向も、洋の東西を問わず、しかも現在では入手しにくい作品を中心に集められており、さらに『名作博 本館』を読んでいると、それ以外にもたくさんの作品が、読み手の心を誘うように、次から次へと現れる。

わたしは「本格物」と呼ばれる推理小説は、子供の頃に読んだ乱歩やモーリス・ルブラン、多少なりともかじった都筑道夫さんなど、ごく限られたものしか読んでいない。
学生時代は、古典芸能への興味が強かったので、そのつながりで戸板先生のものは入手できるものは片端から読んだ。それ以外の推理小説は、ほとんど読んでいない。
社会人になってからは、小説というと、ハードボイルドや冒険小説、時代小説あたりを読んでいた。別に、ジャンルにこだわっていたわけではないのだが。言い換えれば、”ご縁がなかった”ということか。
かろうじて、宮部みゆきさんを若干かじっている程度だろうか。

しかし、坪内師匠を知り、そこから様々な”坪内的”読書の先達の方々をネット上で知り、北村薫さんにたどり着いたというのは、「推理小説やハードボイルドはほとんど読まない」という坪内師匠的でないところが、面白いなと思う。いまや、わたしにとって北村薫さんは、エンタテインメント界における坪内師匠となっている(あくまでも、わたしが出会った順番ということで、他意はない)。
そういえば、お二方とも早稲田大学文学部のご出身であった。