積ん読の先輩

群ようこさんの<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=01957387&volno=0000>『生きる読書』</A>(角川oneテーマ21)読了。
前半は、角川書店のPR誌「本の旅人」に連載された、毎月買った本リストとそれらからインスパイアーされたエッセイ。後半は、文庫の解説など。
群さんは、「本の雑誌」出身。
本の雑誌」にかかわる人は、目黒顧問もそうだけれど、やはり”本好き””本屋好き”の人が多いのだと改めて、感じた。

群さんの家には、数種類の段ボール箱があって、将来原稿を書くために必要な資料、お勉強のために集めている江戸時代関連、趣味の本、とりあえず買ってしまった本、買った途端に読む気がなくなったり読み終わって図書館の交換コーナー行き、という具合に分類されているのだそうだ。

わたしもそうなのでよくわかるのだが、本屋に行って何も買わずに出てくることができない、読みたいと思った本はあとあと手放すことになってもそのときは自分の本として手もとに置いておきたい、そんな気持が、本の連峰を増殖させる、と群さんは自己分析している。

<b>読まれないのに買われた本はかわいそうではないだろうか。もしかしたら私のあとでこの本をどうしてもすぐ読みたくてやってきた人が、書店の棚を見て落胆するかもしれない。本はそういう人のところに行くべきものだろう。もちろん読む気があるから買うのだが、そう思うものがあまりにたくさんあるものだから、ものすごい順番待ちの列が出来ている。その列は山となり、その山は連峰となり、そして私はその中で本の雪崩に遭うのである。
しかし本を買うのは楽しい。家に帰って早く読もうと浮き浮きする。</b>

まさに、群さんのおっしゃる通りだ。
一時期、群さんは本を買わずに、図書館で本を借りると決意したのだそうだが、半月ともたなかったそうだ。
わたしも一時、文庫・新書以外は図書館で借りよう、と自分で決めたのだが、読みたい本が順番待ち、それも10人以上、などという事態に遭遇すると、それだけで気分が萎えてしまった。
以来、新刊書店では入手できない本、あまりにも高価な本などは借りることもあるが、結局、本は買う派に逆戻りしてしまった。
そんな私にとって、群さんの買いっぷりは、さしずめ”積ん読”の心強い先輩にめぐりあったといったところだった。