ああ、どれも好きな『堪忍箱』(1)

宮部みゆきさんの<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02089500&volno=0000>『堪忍箱』</A>(新潮文庫)読了。

これは8本の短編から成る、どちらかというと<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=01581824&volno=0000>『幻色江戸ごよみ』</A>(新潮文庫)の系譜に連なる作品だった。
表題作の「堪忍箱」は、江戸時代の繁盛する米屋に伝わる、謎の漆塗りの文箱にまつわる、不思議で哀しい物語。
「かどわかし」は、お得意先の料理屋の幼い跡取り息子と、彼のために事件に巻き込まれてしまった畳職人の、不思議な巡り合わせを描く。
「敵持ち」は、奉公先の料理屋から主の友人の店に助っ人に出された板前が巻き込まれる、とんでもない陰謀と、その解決に大活躍した浪人者の話。
十六夜髑髏」は、両親と死別した少女が、奉公先で出会った怪奇現象と、その結末。
「お墓の下まで」は、名主夫婦が育て上げた捨て子の美しいけれど切ない物語。
「謀りごと」は、長屋の差配さんが奇怪な死に様を見せたことによって、同じ人間でも、見様によっていかに違って見えるのかということに気づかされる。
「てんびんばかり」では、江戸の花・火事で両親を失った、姉妹同然の幼なじみが、それぞれの生き方を選ぶための切ない物語。
最後の「砂村新田」では、母親の淡い初恋の思い出が少女を一人前の女へと導く。