人情話の王道(2)

「送り提灯」では、お店のお嬢さんの代わりに丑三つ時に回向院参りをするおりんという幼い女中に毎晩尾いてくる「送り提灯」、お嬢さんに思いを寄せる手代・清助をめぐる心模様と、その願かけの裏に仕組まれた事件が描かれる。

「置いてけ堀」では、棒手振りの魚屋の亭主を殺されたおしずと、声を失った常磐津の女師匠・富士春の、二人の女に振りかかった不幸な事件を、茂七が「置いてけ堀」の話を利用して解決する。

それぞれの物語は、決して単なるハッピーエンドではないのだが、それでもほのぼのとしたものを感じさせてくれる。これこそ人情話の王道ではないだろうか。

ちなみに、NHKのドラマ「新・茂七の事件簿」は、3話目にしてやっと、留守録成功。レギュラー陣に若干入れ代わりがあったようで、原田芳雄さまの稲荷寿司屋は登場していなかった。かわりに、一杯飲み屋の娘で秋吉久美子さんが加わったようだ。
ちなみに、一番気になっていたナレーションは、春風亭小朝さん。