本好きには、楽しめるけれど罪作りかもしれない(1)

こう暑い夜が続くと、本を読んでいてもなかなか捗らない。
こういう夜は、軽いものでも読むのがよかろうということで、北尾トロさんの『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)読了。

フリー・ライターである北尾さんが引っ越しを機に、使いやすいように本棚を設置したものの、本があふれてしまって困っていたところで、ふと思い立って始めたのが、オンラインの古本屋さんだ。
北尾さんご自身によれば「パソコン音痴」なのだという。
必要に迫られて、パソコンに詳しい友人の力を借りながらの、開店準備から営業までの経緯が、楽しく語られている。

本好きの人なら、誰でも一度は憧れる「古本屋のおやじさん」だが、いざ、店舗を構えるとなると、資金もかなり必要になるが、北尾さんによると、オンラインの古本屋ならば、元手はさほどなくても大丈夫だそうだ。
まして、北尾さんのように、自分が集めた本を売るということがまず前提となっていれば、別の仕事を持ちながらの副業でもできるという。

確かに、この北尾さんの本を読んでいると、自分にもできそうな気分になる本好き、古本好きの人は少なくないだろう。現実に、最近はオンラインのみで商売をしている古本屋さんもかなり見かけるようになった。
だが、実際に開業して成功するためには、いくつかの条件をクリアしなければ無理だということにも気づく。
まず、特色のある品揃えと、それをアピールするための棚作りができるかどうかということ。次に、確かな商品知識と的確な値付けができること。そして、マメなサイトの更新や注文への対応、そして仕入れができること。