「まあだだよ」から始まる本の輪

TSUTAYAレンタルビデオ&DVD100円キャンペーンで、いろいろビデオとDVDを借りた。
その中で、まっ先に見たのが、黒澤明監督の「まあだだよ」。
内田百間とそのお弟子さんとの交流が描かれている。

公開当時はあまり興味がもてなくて、見ないまま来てしまったのだが、先日、かねたくさんの「読前読後」で百間とそのお弟子さんたちとの交流についての考察を拝見して、見たくなった。

百間先生役が、松村達雄さん、お弟子さん達には、井川比佐志さん、所ジョージさん、その他渋い俳優さんがぞろりと揃っている。
所さんが、さすがに黒澤映画だけあって、脚本・演出に忠実に演じたのだろうなと思わせる、端正な中にもユーモアがあって、ほろりとさせるのには、驚いた。

見終わったとたんに、百間の作品が読みたくなって、一番手近に出ていたちくま日本文学全集の『内田百間』を読みはじめた。
まあだだよ」に出てくる百間先生は、ユーモアたっぷりの『阿房列車』系だと思われるが、ちくま日本文学全集に収められた百間作品は、いまのところファンタジーっぽい作品だ。

弟子達といっしょに飲み、歌い、ユーモアあふれる警句を次々に発する百間先生のイメージしかわたしにはなかったので、これはとても意外な感じがした。これはこれで、味わいがあって、楽しめる。
また、映画の中でも重要なエピソードとして登場する『ノラや』も、入手だけしていて、未だに読んでいないので、引き続き読むことになるだろう。
そして、漱石へとつながっていく予感がする。