新本格も、純文学も、面白い(1)

今日は、11月初旬並みという、肌寒い陽気。
午後、家の近所にできたばかりの、カフェで昼食を食べてから、勝本みつるさんの個展を拝見するため、銀座へ。
会場は銀座松坂屋の裏手で、銀座もこちら側に来るのは久しぶりだ。
かつては、銀座のこのあたりは、しばしば歩いていたのだが、当時とは、店などもだいぶ変わってしまっている。

勝本さんの個展は、「緑色の研究」というタイトルどおり、すべてグリーンが使われた作品。コーヒースプーンにグリーンに染められた毛足の長い毛皮様の素材が、苔のように貼付けられていたり、眼鏡のレンズの部分に同じ素材が貼付けられたものがテグスかなにかで釣り下げられていたり、不思議だけれど微笑ましくて、可愛らしい作品だった。
ちなみに、同じ会場で10月末に北園克衛プラスティック・ポエムのニュープリントの展覧会があるそう。これも、ちょっと注目。

せっかくなので、くまざわ書店教文館、そしてジェイミー・オリバー・プロデュースのレストランが入っていることで、一部テレビ番組などでも紹介されたアフタヌーンティーのビル、旭屋書店などをまわる。
気になる本はあったのだが、ちょっとこのところ積ん読本の増殖スピードが急カーブで上昇しているので、グっとこらえることにした。

福田和也さんの影響で、綾辻行人十角館の殺人』、阿部和重インディヴィジュアル・プロジェクション』などを読んでみた。
どちらも、初めてその作品を読む作家。
これまで、綾辻さんや島田荘司さんなどに代表される新本格モノはほとんど読んだことがないし、ましてや”渋谷系”とか”J文学”などと呼ばれている阿部和重さんの作品などは、むしろ避けて通っていた。
しかし、読んでみるとどちらも面白いし、完成度が高いと思った。

阿部さんの作品は、まさしく渋谷を舞台にちょっとミステリーがかった展開もあり、若者に受け入れられたというのも頷ける。と同時に、主人公とそれを取り囲む登場人物がきちんと書き込まれていて、ラストがちょっとわかりにくいのだが、いい意味で裏切られた感じだ。