がんばれ木瀬の嶋!

仕事帰りに、ちゃんこ料理のお店に寄ったら、現役のお相撲さんが遊びに来ていた。現在、序二段だという22歳の木瀬の嶋さんと、しばらくお話をした。
今は、場所後のお休み期間なので、8時頃に起きるが、普段は5時には起きて2キロ歩き、それから稽古場に出て10時頃まで稽古をするのだそうだ。

根掘り葉掘りいろんなことを質問するわれわれに、ニコニコ笑いながら答えてくれる、とてもいい人だった。体重150kgくらいなので小さい方だというが、現役の力士らしく、普通の太った人にくらべて、体に張りがあって、大きいと感じる。”気は優しくて力持ち”を絵に描いたような、人柄のいい青年力士だった。
今、肩をこわしていて、三段目から序二段に陥落してしまったそうだが、ぜひがんばって関取になってほしいものだ。

相撲にちなんだといえば、長谷川伸の『一本刀土俵入り』や阿佐田哲也さんの「サバ折り文ちゃん」などを思い出す。どちらもちょっぴり哀愁漂う力士の物語だが、今の若い力士の方たちも、悔しさをバネにがんばるという点は、彼等と共通しているようだ。それほど厳しい稽古と階級制度が未だに確固たる枠組みとしてある世界というのも、少ない。そうした中でがんばっている若い人は、応援したくなるし、尊敬の念も感じる。
帰り際に、みんなで「早くけがを直して、上を目指してがんばって下さいね。応援してますから」と言ったのは、決して社交辞令ではなかった。思わずそう伝えたくなる真摯さを、木瀬の嶋さんから感じたからだ。