台風直撃の夕べに横向きのトークショーを聞く(2)

今回のお題を「アメリカと私」にした理由からスタート。
小林よしのりさんの”9.11”以降の反米的言動についての意見から入って、現在「群像」に連載中の「『別れる理由』が読みたくて」について、小島信夫さん、大西巨人さん、江藤淳さん、村上龍さん、村上春樹さんなどのお名前が次々に飛び出して、それぞれの方のアメリカとの関わり方、それに対する坪内さんの見方、などなど、贅沢なお話がいろいろと聞けた。

一番笑えたのが、小林よしのりさんと浅田彰さんについて。
冒頭で、9.11後の小林さんのあり方について、「不自然な、不思議な感じを受ける」と触れられていたが、最後の方で、小林さんが『戦争論2』という著書の中に、坪内さんらしい人物を登場させて批判しているので、それに反論したら「それは坪内さんのことじゃないもんね」としらを切られてしまった、その割には『靖国』を参考にしていると明らかにわかる内容が出てくるので、ちょっとね。それに対して、浅田彰さんも坪内さんの『靖国』を批判しているのだけれど、「左翼としては当然だな」と思える批判だったのと、浅田さんが「小泉純一郎よりも坪内祐三の方が”土人”(表現は違うけれど、坪内さん的に言い換えると”土人”というような表現だそうだ)だ」と言われたのが、かえって光栄だと思う。
これには、会場にいたほとんどの聴衆が爆笑だった。

今回の「アメリカと私」というテーマは、いつになるかはわからないけれど、いつかきちんと本にしておきたいとおっしゃっていたので、とても楽しみだ。
身近なお楽しみは、光文社文庫で刊行中の大西巨人さんの『神聖喜劇』第5巻に収録される解説と、来年春ごろに「諸君」で連載中の「1972」が単行本になる予定という2つ。

まだまだおいしい話はあるので、それはまた後日ということで。
ちなみに、トークショー終了後、サインも受け付けてくださった。持参した本でもよかったらしいのだが、気が弱いので新たに1册購入して、そちらにサインしていただいた。奥付を見ると、2刷だった。持参した方にもサインしていただこうかと思ったのだが、付箋がビラビラついているのと、カバーがよごれてしまっていて恥ずかしかったので、1册だけにしておいた。