役者揃いの「助六」を堪能

天気予報は見事に外れの快晴。歌舞伎座夜の部を活字中毒仲間のKさんと見物。
Kさんと先月の夜の部を見物した折に、1月もいいねということになり、昼の部・夜の部どちらにしようか迷ったのだが、「寺子屋」と「助六」が出る夜の部にしようと、意見が一致した。
助六」は團十郎さんの襲名披露興行以来。「寺子屋」はもっと以前に見て以来だと思う。

寺子屋」は、松王丸の幸四郎さん、千代の玉三郎さんがとても良かった。特に、玉三郎さんはこういうちょっと地味なこしらえの役はどうかな?と、昔の印象だけで考えていたので、うれしい誤算だった。やはり、役者としての年輪を確実に重ねてこられたのだということを、思い知らされた。三津五郎さんの武部源蔵がちょっと役不足に思われたのが、残念。
「保名」は、清元が気になってしまって、芝翫さんの踊りに集中できなかった。
お待ちかねの「助六」。2階の真ん中あたりの席だったので、花道の出がほとんど見られなかったのが、悔しい。團十郎さんは、とにかく姿だけなら文句なく、天下一品の歌舞伎役者だと思う。口跡に難があるのは、若い頃から指摘されていたが、残念ながらその点は克服されていないようだ。それでも、「仲之町にぬっと顔を出すと、煙管の雨が降るようだ」というセリフは、その通り!と膝を打ちたくなる。雀右衛門さんの揚巻は、肉体的年齢を感じさせない華やかさと色気があふれていてさすがだ。意休は、すっかり持ち役となった左団次さん、何日間か病気休演されていたのだが、お元気そうに見受けられて、安心した。菊五郎さんの甘酒売りは、おかしみと柔らかな色気があって、兼ねる役者らしい味わいが團十郎さんと好対照。その他、先月休演だった段四郎さんのくわんぺら門兵衛、正之助さんの朝顔仙平、松助さんの通人といった脇の方々が、正月らしい華やかで賑やかな気分を盛り上げている。
初日にNHKで途中から中継があったのだが、やはり揚巻・白玉・意休の道中から見た方が、華やかさが際立って、いい。もちろん、生で見るというのは大前提だが。
2月の「義経千本桜」もいいが、なんといっても3月は期待度200%。これは、昼夜ともに見たいというところで、Kさんと意見が一致。さすがに通しでは辛いので、分けて昼も夜も見ようということになった。