勘九郎さんのお芝居は楽しい(1)

定例の打ち合わせ中に携帯メールが着信。歌舞伎と本の友・Kさんからだ。
打ち合わせが終わってから内容をチェックしたら、今日の夜10時からのテレビ東京「芸術に恋をして」の特集が歌舞伎で、中村勘九郎さんが出演されることを教えてくださった。
この番組、ときどきは見ているのだが、今日の内容はまったくチェックしていなかったので、ビデオの録画予約もしておらず、ちょっとあわてた。

ゲストが勘九郎さんと、牧瀬里穂さん、いとうせいこうさん。昨年秋に大阪で行われた「平成中村座」の公演の模様と、歌舞伎の基礎知識を紹介していく内容。
平成中村座」の「法界坊」と「夏祭」の場面がずいぶん使われている。
コクーン歌舞伎」をさらにもう一歩進めて、より歌舞伎の原点に近付けた感じだ(そういえば、四国の金丸座での興行を始めたのも、勘九郎さんだったと記憶している)。普段、歌舞伎座国立劇場で観るのとは違って、もっとフランクでありながら根源的で、役者さんと観客との近さが、魅力的。隅田川のほとりであった「平成中村座」を観に行かなかったことを、深く後悔する。

歌舞伎小屋の様子を描いた錦絵などで見るような光景が、見事に再現されている。そして、勘九郎さんが「原点に戻りたかった」と、「平成中村座」を始めた動機を語られている。だから開演中の飲食OKだし、掛け声も好きなところでかけてOKとしたのだそうだ。平土間席の中にまで入り込んで芝居が続いたり、宙乗りでもお客さんへのサービスが満載だ。
もちろん、いつでもどこでも同じような芝居ができるわけではないということは、勘九郎さんご自身が認めておられる。VTRを見ながら「テレビで見ると、これはちょっとやり過ぎだと、自分でも思うけれど、平成中村座ではこうやりたくなるんだよ。小さな子どもが一生懸命見てくれてると、その子のためにがんばっちゃうし、高校生くらいの若い人のグループが『セーノ、中村屋!』って声をかけて下さった時は、涙が出ちゃった。きっと昔の芝居っていうのは、こんな風だったんだと思うんだよね」と、語られた。