談春さん三昧の贅沢な週末(1)

この週末二日は、歌舞伎と落語。しかも落語は談春さん三昧という贅沢なもの。
土曜日は、歌舞伎座のあと、花緑さんと、談春さんが聞きたくて、雨も結構降っていたので、タクシーを飛ばして、国立劇場演芸場の「花形演芸会」へ。
花緑さんは、ユーミンの「シャングリラ2」を見たというマクラから、なんと「寿限無」。最近、NHK教育テレビの幼児向け番組で寿限無を全部覚えて言うというのがあるそうで、学校落語などでは、よくやっているそうだ。

談春さんのマクラでは、まず、この異常な陽気について。談志師匠のお供で、ハワイに行ったときの話しを面白おかしく。「噺家は、日焼けしてはいけない」というのは、初めて聞いた。歌舞伎の役者さんは、おしろいの乗りが悪くなるから日焼けしないようにする、というのはよく聞くけれど・・・。
それでも海が大好きな談志師匠は、なんだかものすごい格好をして海に入っていくという、その時の格好について。股引をはいて、ニベアを日焼け止めの代わりに、真っ白に塗りたくるというのが、妙に印象的。そりゃあ、17歳の談春さんはいくら薦められても「荷物番ですから、大丈夫です」と断るだろうなあ。

談春さんの噺は『汲みたて』。
似たような噺は、先日NHKの「日本の話芸」で聞いたので「あ、あれかな?」と思っていたら、噺の展開が違ってきた。
近所のちょっと色っぽい音曲の師匠をめぐる、男たちの恋の鞘当(にもなってない?)。師匠と仲間の一人が、いい仲になったらしく抜け駆けで、屋形船で涼みに出ると聞きつけて、みんなで邪魔をしに行こうということになる。それも、鳴り物を持って行って、いいところになったら、それをみんなで打ち鳴らそう!ということ。
ところが、お金がないので、追っかける連中は、なんと猪牙に立錐の余地もないくらいにギューギュー詰めで乗っている。それだけでも、もうおかしいのに、ラッパを持ってきたやつがいて、多分、豆腐屋のラッパだと思うのだが、ドンジャカドンジャカやっている中で、間抜けなラッパが鳴るというのが、ますますおかしい。
こういう、とんでもないことをやらかす連中が、落語では大活躍する。こういう愛すべき奴らが、身近にいたら楽しいだろうな、と思う。