時すでに遅し

仕事の途中で、気分転換に、いつもの本屋を見回る。
新刊文芸書、人文書などの平台と棚をチェックした後、芸能関係の棚へ移動。中野翠さんが「必読書!」として「日経ウーマン」で挙げていらした美濃部美津子『三人噺』(扶桑社)を、やっと購入。これは、前からずーっと読もうと思いつつ、なぜかきっかけがなくて、買えなかった本。
志ん生師匠のお嬢さんということは、志ん朝師匠と馬生師匠のご兄弟である著者による、三人の噺家についての思い出が綴られたエッセイ。
続いて、文芸書の棚から、今年度の江戸川乱歩賞受賞作である、赤井三尋『翳りゆく夏』(講談社)を。最近は、推理小説とかエンタテインメントは、単行本では滅多に買わないのだけれど、これは、わが落語の師と仰ぐ藤原龍一郎さんのお知り合いの方の著書。藤原さんの日記で、面白そう!と思っていた作品。
そして、落語の復習用に麻生芳伸編『落語特選 下』(ちくま文庫)。週末の「談春三昧」でうかがった噺がいくつか収録されていたので、とりあえず下巻を購入。でも、上巻のラインナップを見ると、やっぱり上巻も買わなければ!だった。

レジでお会計をしていると、店長さんが「実は、9月いっぱいで閉店することになりました」と衝撃の告白。思わず「嘘でしょー、担がないで下さいよ」と言ってしまったら、店長さんが「僕も、嘘でしょー、という気分です」とおっしゃる。「跡はカフェになるそうです」という店長さんの言葉に「カフェはもう一杯あるから、いらないのにね」と言ってみたものの、そこまで具体的になっているということは、やっぱりこの本屋さんは、無くなってしまうんだ・・・。
やっと見つけたお気に入りの本屋さんなのに、なんてこった! これからのわたしの”いつもの本屋”は、どこ?!
東京ランダムウォークはできたけれど、ここがあってこそのランダムウォークっていう感じで、ちょうどいいバランスだったのに・・・。
「BRURUS」に載ったくらいじゃ、ダメなのね。
京都の友人の「とにかく、どんな本でもそこで注文を出してでも買わないと!」という言葉を、思い出すが、時すでに遅し。