座布団100枚くらいは・・・

やっと、雨の心配から解放された一日。それでも、長袖のシャツにベストを着ていても、暑くないというのは、どういうことだ?
昨日につづき、いつもの本屋を見回る。実は、買う本は決まっていて、昨日下巻を買った、麻生芳伸編『落語特選』(ちくま文庫)の上巻。

下巻には「汲み立て」「星野屋」「反魂香」「中村仲蔵」「文違い」「黄金餅」「今戸焼」「松曳き」「心眼」「三軒長屋」「二階ぞめき」「富久」「一目上り」「木乃伊取り」「蔵前駕篭」「夢金」「悋気の火の玉」「王子の幇間」「片棒」「居残り左平次」の20編。
そして、上巻には「品川心中」「小言幸兵衛」「浮世根間」「大山詣り」「蛙茶番」「鰻の幇間」「宮戸川」「酢豆腐」「岸柳島」「三枚起生」「らくだ」「疝気の虫」「お直し」「代り目」「宿屋の富」「黄金の大黒」の16編が収録されている。

『落語特選』に先立って編まれた『落語百選』(全4巻)からは洩れた噺から、いい噺を選んだと前書きにあるのだが、結構、わたしなども題名だけは知っているような、お馴染みの演目が入っている。
ちなみに、『落語百選』の方は、季節ごとに1巻が充てられている。

落語関係の本で、新刊書店で入手可能なのは、芸談などの単行本がほとんどだ。落語の演目自体を活字に起こした本は、あまり見かけることが無く、同じちくま文庫で、最近刊行されている、米朝師匠のシリーズや、文楽志ん生、小さんといったお馴染みの名人ごとに得意の噺を収録した『古典落語』シリーズくらいだろうか。
落語をあまりよく知らなかった頃は、なぜ新作落語でもないのに、演者別にこういった本が編まれるのかよくわからなかった。しかし、興味を持ち始めて、本を読んだり、先輩がたのHPを拝見したりすると、演じる人によって、結構、噺の内容が違っていたりすることがあるというのを知って、納得がいった。
ちくま文庫に落語の本が多いのも、不思議だなと思っていたら、『落語特選』のあとがきを読んでいて、謎は解けた。編集者に落語が好きで詳しい方がいらっしゃるのだ。

田中小実昌コレクション』とか、『内田百間集成』といったシブい本系のラインナップはもちろんだけれど、この落語の充実ぶりから言っても、やっぱり、ちくま文庫には座布団100枚くらいは、差し上げたい。
ちなみに、ちくま文庫では9月から、志ん生師匠のシリーズが刊行開始になるという。これは、今からとても楽しみだ。