折に触れて拾い読みしたい『談志百話』

談志師匠の『談志百話』(講談社)を、いつもの本屋で購入。
本当は、岩波書店から出た『落語の愉しみ』を買うつもりだったのだが、別の支店のスタッフの方がやってきて「これ、もらってくよー!」と引き上げていらしたということで、すでに棚から消えていたのだった。
で、『談志百話』である。
これは、談志師匠が100組の芸人さん(広い意味で)について、思うところを書いたもので、噺家さんはもちろん、色物の芸人さんや、中村勘九郎さんや高田文夫さんといった方々が登場する。文章のスタイルもその時々でいろいろ。山藤章二画伯の似顔絵がついていて、これがまたサスガ!なのだった。

談志師匠は、ご自分のお弟子さんの中では、落語協会脱退後の弟子1号である志の輔さんのこと、新作落語で頭角を現した志らくさんのことは、よく話したり書いたりされている。
ところが、「談志の芸をもっとも受け継ぐ」と世間(の一部か?)で言われている談春さんのことは、あまり触れてくださらない。
談春さん贔屓としては、それがちょっと寂しい気がしていると同時に、ちょっとすねてみたりして・・・。

「今日は何を買おうかな?」ととりあえず芸能・芸術関係の棚の前でしばし考えていた。ふと目にとまった『談志百話』を棚から抜いて、目次をチェックすると、なんと「談春志らく」という項目があるではないか!
さっそくそのページを開いて、ちょっとサワリを読んでみた。
「おお、これは買わねば!」だった。
談志師匠が、この文章を書いた時点での、談春さん、志らくさんに対する思いが書かれている。
古典をやらせれば抜群の談春さんと、現代を描くことに冴えを見せる志らくさん。なるほどねぇ・・・。どうやらこの頃は、談春さんも新作を高座にかけることもあったらしい。それもちょっと聞いてみたい気がする。

家に帰って、改めて「立川談春志らく」の項をじっくり読んでみる。そして、「桂文楽」や「山藤章二」「高田文夫」といったページを拾い読み。
一気に読むというよりは、折に触れて気になる項目を拾い読みすることにしよう。