歌舞伎三昧

松屋銀座で開催中の「歌舞伎美の世界展」と歌舞伎座夜の部をハシゴ。
「歌舞伎美の世界展」は、衣裳がメインの展覧会。ほとんど3階からオペラグラスで覗いている衣裳が、目の前で見られるので、衣裳の質感などもよくわかる。
歌舞伎好きかつ、きもの好きには、勉強になった。いただいた招待券がまだあるので、期間中に、もう一度行きたい。

そして、歌舞伎座夜の部。
俊寛」のヨゴシの衣裳につい目が吸い寄せられる。特に吉右衛門さんの衣裳が凝っていて、オペラグラスで隅々まで鑑賞。役柄のためなのだろうが、他の二人に比べて、梅玉さんの衣裳がキレイ過ぎるのが、妙に気になる。
芝居は、吉右衛門さんはもちろんだが、魁春さんの千鳥が良かった。呼び出されて花道を出て来て、恥ずかしがって一旦引っ込んで、また登場するところから、島育ちの初々しい娘らしさがある。赦免の船が来て喜んだのもつかの間、自分は乗れないことを知らされた後の嘆き、自分の身代わりに島に残る俊寛への思い入れ、若手の女形とはひと味違う、深みのある千鳥だった。

「身替座禅」では、富十郎さんが「俊寛」の瀬尾と打って変わった白塗りで登場。最初のセリフから朗々とした、張りのある声は、年齢をまったく感じさせない。愛嬌たっぷりのセリフと踊りの切れの良さは、サスガだ。
対する奥方は、吉右衛門さん。”山の神”ぶりは、見事。これじゃあ、旦那さまはもちろん、太郎冠者にも恐れられるはずだ。襖をかぶってかぶりを振り、惚気話に地団駄踏むところは、文句なくおかしい。ただ、”山の神”殿にも実は可愛らしい面があるんだというところが、もう少し強調される部分があっても良かったかな?という気がする。
常磐津・長唄ともに、ほぼ安心して聞けて、良かった、良かった。
ちなみに、玉太郎さんの腰元の着付けが、襟元がちょっと開き過ぎで気になった。

「無間の鐘」は、初めて見る芝居。ストーリーはちょっと違うが、梅ケ枝と源太の関係は、6月に見た「御所五郎蔵」の皐月と五郎蔵のそれと似ている。
「五郎蔵」では、皐月の本心が五郎蔵に伝わらず悲劇になるのだが、こちらは梅ケ枝の心を知った源太、二人を添わせようとする母の情によって、ハッピーエンドが暗示される。
芝居の構成そのものに、もう少し工夫があった方がいいような・・・。
秀太郎さんが、もっと見たかった。