権太樓さんと志の輔さん(1)

”落語三昧週間”3日目は、「落語研究会」へ(顔付けは、<A HREF=http://d.hatena.ne.jp/mittei-omasa/>市中視回り日録</A>でどうぞ)。

今回は、事前に期待していたのは、なんといっても志の輔さん。で、聞いてみて強く印象に残ったのは、権太樓さんと志の輔さんだった。
権太樓さんは、出囃子に乗って登場する雰囲気からして、わたしにとっては不思議な感じ。
パっと思い浮かんだのが、尼さん。それもかなり位の高い尼さんっぽい雰囲気だなというもの(的外れだったら、ごめんなさい)。
そして、物静かなのかな?と思うと、バッチリ笑いも取るマクラは、若い頃に「たちきれ線香」を鈴本のトリでかけた時のエピソード。それ以来、大きな会場ではしばらく人情噺をかけなかったというのは、本当かどうか? 初心者のわたしにはよくわからないが・・・。

そして、「たちきれ線香」に入って行く。あまりに遊びが過ぎるということで、100日の蔵住まいを番頭にすすめられ、それをやり遂げた若旦那は、その最初の日から、柳橋の芸者お久から毎日手紙が何通も届いていたことを知らされる。しかし、その手紙も80日目には途絶えてしまったと聞かされて、その場は「そんな手紙は読みたくないから、お前が代わりに読んでおくれ」と強がるが、いざ外出すると、柳橋のお久の家に飛んで行く。ここまでだけでも「いいな」と思って聞いたのだが、ここから先がすごかった。
お久の母親が若旦那に「あの子に会ってやって下さい」と通したのは、仏間。そして「あの子はこんなになっちまいました」と差し出されたのが、白木の位牌だ。驚いた若旦那に「あの子がこうなったのも、言ってみれば若旦那のせいですよ」と言って、母親がことの経緯を涙ながらに語って聞かせる。
この辺ですっかり引き込まれ、下座から「黒髪」の三味線が聞こえて来ると、かなりウルウル状態に。そして権太樓さんの姿が、お久のおっかさんの姿に見えて来た。きものの色選びがまた、娘を亡くして一月足らずの、嘆き悲しんでいるおっかさんにピッタリだった。
権太樓さんの落とし噺がどんな感じなのか、ぜひ聞いてみたい。