権太樓さんと志の輔さん(2)

仲入りをはさんで、お待ちかねの志の輔さん。
マクラは噂に違わず、時事問題を巧みに取り入れ、それが後でしっかり噺にもリンクして来る。さらに「この落語研究会は、今日で423回ですが、今日やる『帯久』という噺は1回も出ておりません。なぜ出ていないかというと、つまらないからです。で、どこがどう面白くないかを、今日は皆様と一緒に検証してまいりたいと思います」というフっておいて、噺に入った。そういわれると、単純なわたしは「おお、どこが面白くないんだろう?」なんて思ってしまうのだが、これがとんでもない。大変結構でした。
前半は、伊勢屋さんがいかにいい人かというのを、しっかり印象づけておいて、後半で帯久の強欲さを強調。さらに、落はくしてしまった伊勢屋さんを支える番頭さんに、大岡越前がからんできて、勧善懲悪で落げる。
伊勢屋さんが帯久のあまりの仕打ちに、我を失って、誤って帯久の店に火をかけたことになってしまうのだが、帯久の店が焼けてしまったという説明がちょっと足りなかったのが残念。
それ以外は、落げに向けてのサスペンスも効いていて、とても良かった。多分、志の輔さん流の演出がだいぶ入っているのだろう。速記本でチェックしてみようと思う。
やはり志の輔さんも、要チェックの噺家さんだった。

圓太郎さんも「いいな」と思ったのだが、その後のお二人が、わたしにとってはあまりに良かったので、すっかり印象が薄くなってしまった。