のんびり気分の寄席もいいなぁ

「なんでもない平日の寄席って、こんなに空いているんだ」という驚きが、鈴本演芸場の夜の部の第一印象。
仕事を片付けて、6時半すぎくらいに着いて、ちょうど小菊さんの高座の半ばくらいに入場。
(顔付けは<A HREF=http://d.hatena.ne.jp/mittei-omasa/20031002>「市中視回り日録」</A>でどうぞ)

このところ、あちこちでぶつかる志ん五さんの「不精床」。ぼうふらが沸いた水のところでは、鳥肌が立ち、お客の頭に剃刀の刃がもろに当たってしまったところでは、つい「キャッ!」と小声だけれど、声を上げてしまった。
今日は、志ん五さんの噺にすっかり引き込まれてしまった。

漫才のゆめじ・うたじさんは、先月の池袋演芸場が初めてだったけれど、出だしがその時と同じ話題だったので、期待していなかったら、途中からすごくおかしくて、二人の絶妙のやり取りに笑い転げた。

今日、なぜわざわざ鈴本に駆けつけたかというと、雲助さんが一日だけトリを取るからだった。
噺は、先月「志らくのピン」で聞いた「スティング」の中に、同じ設定の部分があって「なんだっけなー、この噺」と、ずっと考えていた。
最後に雲助さんご自身が「妾馬」だと教えてくださって、すっきりした。

今日の雲助さんの「妾馬」は、ハチの独壇場。
お鶴が見初められる件がなくて、お世継ぎ誕生の知らせを受けて、大家さんからきものを借りて、お屋敷に出かけていくところから。
大家さんも伊藤三太夫も殿様も「あれ、いたっけ?」という位、ハチがほとんど一人で喋りまくる。
ハチが侍に取り立てられて「この後大変な出世をとげるのですが」というところまで。
おっちょこちょいぶりがてんこ盛りで、とにかくおかしい。
そういえば、最後まで黒紋付の羽織を脱がなかったのは、噺の内容に合わせたからだろうか?
相変わらず、おきものの好みも渋かった。

雲助さんの噺の途中、わざわざ人の前を通って、帰っていったおばちゃん! お願いだから、お連れの男性と同じように、遠回りでも反対側から出て行ってよね!! なのだった。

満員御礼!というのも、それはそれで活気があって楽しいけれど、空いている寄席で、のんびりと落語や色物さんの芸を見るのも、なんだかいいなと思った。