今日は勘九郎さん

昨日に引き続いて「坂東玉三郎古典芸能図鑑」。今日のゲストは勘九郎さん。テーマは歌舞伎の衣裳。「俊寛」の衣裳は初代吉右衛門のものが、勘三郎さんに伝わり、今、勘九郎さんが使っているのだそう。鬼界ヶ島で「俊寛」をやった時に、衣裳さんから「若旦那、それを着て海にだけは入らないでくださいね」と言われていたのに、つい海の中に入ってしまったので、怒られるかなぁと思ったら「若旦那、あれはしょうがないや」と言ってもらったというのは、いい話だなぁ。勘九郎さんは「このきものには、島の浜辺の砂がどっかに入っているような気がしてね・・・」と言っていた。
衣裳に助けられることもあれば、どんなみずぼらしい衣裳でも、それを着る役者の力で良く見えることもあるというのは、なるほどねぇと。
そういえば、去年「歌舞伎四百年展」を見た時に、意外に「あれ?なんか薄っぺらいなぁ」と思わされる衣裳があったけれど、それを役者さんが着た写真を見ると、全然違って見えたりするのは、そういうことなんだろうな。
若い頃、勘九郎さんが「夏祭」の團七九郎兵衛をやった時に、あまりに衣裳が薄くて頼りなく感じられて、肉を着たとか、弁天小僧を息子に教えていて「イライラしてきて、自分がやりたくなっちゃった」っていうのは、勘九郎さんらしいなぁ。
引き続き「歌舞伎の鬘」。見なれていると思っていた鬘も、実は舞台の上で役者さんが着けているところぐらいしか見たことがないので、細部をじっくり見てみると、知らないことがいろいろ。
ゲストは、鬘屋さんと床山さん。いろんな工夫があるものだなぁと。
その中でも「なるほど」と思ったのが、歌舞伎の鬘に使う金銀の飾り物は、本物を使うとかえって映えないというお話。銀紙の方が派手やかな衣裳とのバランスがいいのだそう(例外もあるけれど)。

それにしても、衣裳にしても鬘にしても、これだけの人の手を経て出来あがって行く、そこには、気が遠くなるような手間と時間と工夫とがかけられていることを思うと、歌舞伎のチケット代にも、改めて納得がいくというもの。何しろ、それ以外の部分でも、下座や出囃子、竹本などの音楽は全部生だしねぇ。