”滝田ゆう”という巨人がいた 1

漫画は普段めったに読まないが、このところ、漫画家にまつわる本を読んだせいか、かねたくさんのオススメを読んで、滝田ゆう<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02117293&volno=0000>『滝田ゆう名作劇場』</A>(講談社漫画文庫)を購入。その日のうちに、読了してしまった。
もともと「オール読物」に連載していたものに、「別冊小説現代」に掲載した「骨餓身峠死人葛」を加えて1冊にまとめたもの。

それぞれの漫画には、戦後を代表する作家たちの小説が”原作”となっていて、滝田ゆうが独自の”作法”で漫画化した全23篇だ。

時代物あり、世話ものあり、前衛あり、いろいろなタイプの小説が、滝田ゆうというフィルターを通して、ひとつの世界の中にまとめられている。

お恥ずかしい話だが、”原作”を読んでいた作品は、1つもなかった。したがってすべて、初見の小説ばかり。
これだけバラエティーに富んだ小説を、それぞれの作品が持っているであろう”味”を壊さず、しかも自分の作品にまで昇華した、滝田ゆうという人の作家性に、驚かされた。
先日読んだ<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=01872838&volno=0000>『のらくろひとりぼっち』</A>(光人社NF文庫)の中で、滝田の才能についての記述を目にしていたが、わたしにとっては、テレビ番組などで「独特の雰囲気を醸し出す、ふくよかで優しげなおじさん」というイメージくらいしか持っていなかったので、これは驚きだった。