”滝田ゆう”という巨人がいた 2

中でも、心に残った作品は、木山捷平原作『苦いお茶』、宮原昭夫『小舟の上で』、吉村昭身延線』、山川方夫『夏の葬列』。吉村昭以外は、名前程度は知っているが、その作品をまだ読んだことがない作家のものだった。

時折、吹き出しが描かれていて、わかったようなわからないような、それでいて、その吹き出しが味なのだろうと納得。

藤本義一の解説が、またいい。
二人は、「夕刊フジ」の連載を一緒にしていて、その時のエピソードだ。
「一度だけゆうさんが割合に真剣な面持ちでいった。
『こちらが文を書いて、プァー、フジモッさんが絵を描かんすかね』
『面白い、やりまひょか。先ず、大きな腹を描いて、大きな顔を描いて、和服を着せて・・・・・・』
これは遂に実現しなかった。残念」
まったくもって、残念。