古本屋おやじの矜持を見た 1

先月読んだ、内堀弘<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02089585&volno=0000>『石神井書林日録』</A>(晶文社)が、今まで知らなかった本の世界をいろいろと教えてくれた。
それで味をしめたというわけでもないのだが、古本屋さんの本がどうも気になって、新刊の中山信如<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02128396&volno=0000>『古本屋おやじ -観た、読んだ、書いた-』</A>(ちくま文庫)を、書店で見かけて購入した。

装丁のイラスト(とくみつや)と、黄色の帯に黒字で横書き一行の惹句
「本が好き、映画が好き、酒が好き」に引き寄せられてしまった感じだ。
荒川区三河島という、わたしにとってまったくご縁がない土地で、映画専門の古書店稲垣書店」を営んでいらっしゃると、著者紹介にある。
また、単行本の著書<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=01706416&volno=0000>『古本屋「シネブック」漫歩』</A>(ワイズ出版)の著者でもあるという。そういえば、この書名には見覚えが・・・。

解説で同じ古書店主である作家・出久根達郎氏は、中山さんが古本屋という職業の真の素顔を初めて世の中にさらしたのだ、と書いておられる。古書業界のことを何も知らなくても、半ば自嘲的に語られる”古本屋気質”は、お見事としか言い様がない。ライバルの訃報に接すれば、入札で負けた本の行方が気になり、やっとの思いで手に入れた本はなかなか思うように売れず、嫌いなミーハー向けのプロマイドやポスターばかりが売れていく矛盾を嘆く。中山さんの「歯に衣着せぬ」物言いと、飾らないところが、小気味好い。第III部の日記を読んでいると、逆にこんなに商売を休んで、「急ぎの仕事」にかかりっきりになって、大丈夫なのかしら?と他人事ながら、心配になる。だが、それも処女出版のための作業だった。「目指せ!印税生活」と、本気で思っておられたわけでもなかろうが・・・。