桜と「文章読本」

夕べの強風が、春一番だったという。
そういえば、今年はまだ、春一番のニュースを聞いていなかったな、と呑気に考えていたら、あちこちで桜がほころび始めているという。

我が家の前の公園に、桜の木が一本植わっている。
不動産屋さんから「春には、ベランダからお花見ができますよ」と言われていた。
帰宅してカーテンを閉めようと、ベランダに面した窓のところまで行ったら、街灯にぼんやりと照らされた桜の木の枝に、白っぽいものがチラホラと見える。
「あれ?」と思って、よく見ると花がいくつか開いていた。
まだ弥生も半ばなのに、これでは入学式の頃には、花は終わってしまっていることだろう。

夕食を簡単に済ませて、読みかけになっている、斎藤美奈子<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02127766&volno=0000>『文章読本さん江』</A>(筑摩書房)のつづき。
文章読本というジャンルを、様々な角度から分析し、揶揄する。
もちろん、彼女が「御三家」と呼ぶ、谷崎潤一郎三島由紀夫清水幾太郎や、「新御三家」の本多勝一丸谷才一井上ひさしにも、容赦はない。

これまで、あまり「文章読本」など読んだことがないので、斎藤さんが挙げる様々な矛盾点や、引用されている様々な「文章読本」の例文などを読むと、それだけでもとても面白い。
さらに、それらに対する鋭い斎藤さんのツッコミは、思わず読みながら笑ってしまう。

これは、女性だからこそ書けるのかもしれない、とふと思う。
”御三家”や”新御三家”はもちろん、その他にも錚々たる人々が手掛けている「文章読本」を、ここまで見事に斬り込むことは、男性にはなかなか難しいと思える。
なぜなら、ほとんどの「文章読本」の著者は男性だからである。
男性の書き手だと、錚々たる執筆陣がおっしゃることに、「その通りでございます」と、丸め込まれてしまうのではないか?
まだ、うまくまとめられないが、直感として、そんなことを思いながら読んでいる。