積ん読本の素 その6

林哲夫<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02131800&volno=0000>『喫茶店の時代』</A>(編集工房ノア)を読み始めた。
茶や珈琲の故事来歴から始まって、日本に本格的なカフェやミルク・ホール、喫茶店といった場所が誕生する背景について、広範な書物に当たった上で書かれている。
半分くらい読んだところで、この本もまた”積ん読本”の素になるのはまちがいないと、確信してしまった。
坪内師匠の著作で、名前だけは知っている人や本なども少なくないのだが、それ以外にも、いろいろと引っ掛かりができているからだ。

そもそも、内堀弘さんの<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02089585&volno=0000>『石神井書林日録』</A>(晶文社)を読んで、白山にあった”南天堂”という書店の2階の「カフェのようなサロン」に集まった人たちが「マヴォ」という雑誌を出していた、ということを知って、本屋の2階がカフェで、そこに文士や芸術家が集まっていたというところに、興味を惹かれたことが、この本を手に入れた動機なのだ。

マヴォ」という変わった名前と、その中心人物のなかにヴヴノワさんというロシア人の女性がいたこと、田河水泡氏が熱心な活動家であったこと、などが今のところの興味の中心なのだが、まだまだいろいろと「マヴォ」と南天堂をめぐっては、面白いことが出てきそうで、わくわくする。

最近の”カフェ・ブーム”のおかげか、リキエスタから松崎天民『東京カフェー探訪』も出たし、ありがたいこと。
といっても、この『喫茶店の時代』にしろ、松崎天民の『東京カフェー探訪』にしろ、昨今の”カフェ本”とは別物なのだけれど。

ちなみに、南天堂という書店は、今でも白山にあるそうだ。
松岡虎王麿とは、関係ない人が経営者だということだけれど。
南天堂については、森まゆみさんや、寺島珠雄さんが詳しく書いていらっしゃるので、追々、それらの著作も読みたいと思っている。