河鍋暁斎の絵日記が読みたい

今日は仕事で出かけなければならなかったので、その前に原宿の太田記念浮世絵美術館で開催中の「河鍋暁斎展」へ。

表参道の人波と喧騒が嘘のように、静かで人も少ない。
入ると、大きな表装をされた作品が何点か眼に飛び込んでくる。
どの作品も、そこに描かれた人や生き物たちが生き生きとしている。
そして、暁斎の批評精神が溢れ出た、画題と画面は、一種ユーモラスでもある。
放下やお祭り、見世物を題材にした作品に、特にそうした暁斎の視点が色濃く描かれている。

一方、いわゆる美人画のジャンルに入ると思われる、花柳界の女性を描いた作品は、同じ作者の手になったとは、ちょっと思えない。
だが、そこに描かれた女性たちは、どの人もちょっと”モダン”な感じがする。

巻物になっていた日記は、一部の文字しか読むことができないので(江戸時代の文字を読む勉強は一時やったのだが、すっかり忘れてしまった)、内容はそれほどはっきりとは読み取れないのが残念。しかし、絵日記なのでなんとなくはわかる。この日記は、どこかで活字化されていたりはしないのだろうか? と、日記フリークの好奇心が頭をもたげた。

仮名垣魯文とのコラボレーションによる作品は、何かの折りに眼にしたことのあるものが何点かあって、「そうそう、これこれ」と思わず一人頷いていた。

途中で入ってきた女性の三人連れが、妙にうるさかったのが、気持をそがれて残念だった(作品や作者についての生半可な解説や、まったく関係のない、お店についての話題などを声高にしゃべっていた)。
ああいう、こじんまりとした美術館では、やはり他の観覧者のことを考えて声のトーンや会話の内容を選んでもらいたいものだと思う。途中で、その3人と擦れ違ったが、結構良識があってもよさそうな年配の方々だった。
同じ3人連れとはいえ、その後に入館した小学校中〜高学年くらいの女の子とお母さんの方がよっぽど静かに観賞していたのだから、年齢とはあまり関係ないのだろう。