花火と古本と文壇と

神宮外苑の花火大会。
じっくり見たわけではないが、きれいだった。
しかし、見物渋滞で、赤坂通りから乃木坂トンネルの上、青山墓地の陸橋あたりの道路は車道・歩道とも大変なことになっていた。

一昨日、青山ブックセンター本店で買った「東京人」2001年5月号の特集「古本道」を読む。古本について、基礎知識がなかったわたしにとって、非常にためになる特集だった。
向井敏さんと田村書店の奥平晃一さんの対談では、奥平さんの
<b>私の店に来る人で小沼丹を知らない人がいたら、本なんか読まないほうがいいと思うくらいです。</b>
という発言は、ドキっとすると同時に、「小沼丹を知っていてよかった」と胸を撫で下ろしてしまった。

田村書店のご次男で洋書部門を切り盛りしておられる奥平禎男さんと、鹿島茂さんの対談は、読んでいると積ん読も一概に悪いことではないと、勇気づけられる(といっても、レベルがまったく違うのだけれど)。
また、堀江敏幸さんの早稲田古本街歩きも、味があってうらやましい古本屋めぐり。堀江さんの作品の奥行きは、こういうところにあるんだな、と感じる。

そして、古本の基礎知識としてもっとも「なるほど、そういうことか」と思いながら読んだのが、永江朗さんの「二○○一年古本業界勢力図」だった。
”古本””と”古書”の違い、新古本屋は”しんこぼんや”と読むのだと言うこと、などごくごく初歩的なことから教えていただいた。

昼過ぎに、いつもの書店で購入したのが
斎藤美奈子『文壇アイドル論』(岩波書店
帯には
<b>賞賛と罵倒の軌跡ー</b> 
とひときわ大きな活字が。
今回、斎藤さんの餌食となったのは、村上春樹俵万智吉本ばなな林真理子上野千鶴子立花隆村上龍田中康夫、という面々。
前書きを読んでみると、いずれも現役バリバリの人々だが、80年代にその基礎を築いた人を取り上げたとのこと。
彼らを論じることで、この20年を振り返る試みだという。
『後ろ向きで前へ進む』とはまた角度が異なるが、同じような時代を取り上げていることになる。

ちなみに、斎藤さんは前書きの最後で
<b>業界の内幕話みたいなものに、私は疎いし興味もありません。本書を読んでもミーハー的な関心は満たされませんので、その点だけは、あしからずご了承ください。</b>
と結んでいる。
どんな論が展開されるのか、楽しみだ。