予想どおり、やられてしまった

Jリーグ・ファーストステージの最終節。
横浜Fマリノスは、2位に終わってしまった。優勝は、ジュビロ磐田
前節の結果が、すべてだろう。

中野翠『あやしい本棚』(文藝春秋)読了。
全体は、大きく四部にわかれており、その中にまたいくつかのくくりが設けられている。

まずは「あやしい本棚」。
自他ともに認める”あやしい人”好きの中野さんらしく意外な本が並ぶ「奇書の匂い」にまず先制パンチを浴びた。特に、大川興行大川豊が、奥崎謙三(映画「ゆきゆきて、神軍」の主人公)に似ているという指摘と、『金なら返せん! 天の巻』という借金返済記録から百間先生を連想するあたりが、絶妙だ。

そして「小説も少々」では、いきなり永倉萬治さんの『インポテンス』、団鬼六(!)さんの『アナコンダ』と続いたあと、ウェストレイクの『ホット・ロック』、泡坂妻夫さんの『泡亭の一夜』、『明治の文学 樋口一葉』に至る構成の妙と、中野さんの守備範囲の広さに、すっかり参りました。

次のくくりは「一番のたのしみは」。
中野さんの大好きな、映画、落語と芸人、歌にまつわる書評が並ぶ。
ここは、読んだ本、積ん読の山にある本が多く、積ん読の山には入らないまでも、前々から気になっていた本には、中野さんにダメ押ししていただいた感がある。
例えば、土屋嘉男さん(黒澤映画の常連さん)の『クロサワさーん!』とか、吉川潮さんの『江戸っ子だってねえ』、松野大介さんの『芸人失格』、近田春夫さんの『考えるヒット』などが、それだ。

そして、「もう一度読みたい」。
ここで取り上げられている本は、「あー、わたしも読んだ、読んだ」という本もあったが、たいていは知らない本。「そうか、中野さんはこういう本を読んでいらしたんだな」と。いわゆる”児童文学”が嫌いで、大人の本を読んでいたというあたりはわたしも一緒だ。読んだ本がかなり違うのは、単純に世代の差では片付けられない。

最後が「人生とは、宇宙とは」。
この中では、やはり「おそるべし、日記文学」と山田風太郎さんとの対談。
明治以降の日記文学を読みふけったという中野さんが選ぶ、ベストは・・・。さらに、山田風太郎さんとの対談では、『あと千回の晩飯』を入り口に、映画の話、戦争の話、さらにクローン人間の是非へと、話題は広がる。このお二人だからこそ!という対談。

あー、探書リストがこれでまた一気に増えてしまった。