秘密は「声が聞こえる日本語」にあった(2)

好きな人、興味がある人が登場しているからと、インタビューや対談、聞き書きといった雑誌の記事や本を読んでいても、どうもピンとこないこともある。逆に、そこに登場している人に興味がなくて何かの拍子に読み出しても、引き込まれることもある。それは、ひとえに「声が聞こえる日本語」でその文章が書かれているかどうかにかかっているのだ、ということに気付かせていただいた。
そして、もちろん矢野誠一さんの『荷風の誤植』が、この坪内さんの文を読むことによって一層読みたくなったことは、言うまでもない。