あんつるさんがもっと読みたい(2)

三木助とメロン」では、三木助最期の様子が描かれている。
安藤さんは、三木助の病床に呼ばれ、志ん生文楽が並ぶ隣に座る。
文楽志ん生、安藤さんと三人で「そんなに簡単に死ねないんだから、急ぐことはない」という意味のことを三木助に向かって言うと、後ろに控えていた親戚の人がどっと笑ったという。

<b>すると、三木助の顔に、さアッと赤みがさして、ひとなつッこい目をあけると、笑って、
「これじゃア、なかなか、死なれねえ」といった。
また、みんなで笑った。</b>

これが、三木助が亡くなる七日前のことだという。
三木助が、何をやっても死ねないということに、恥ずかしさを感じているという気配をサっと察した三人の意気の合い方は、さすがだ。
それをまた、こんな風にサラっと書ける安藤さんも、すごい。

この随筆集を読んでいるうちに、他の安藤さんの著書もぜひ読みたくなった。
講談社さん、文芸文庫で他の作品も出してくれないだろうか?