落語でも聞いてみたい「牡丹灯籠」(1)

歌舞伎座の納涼歌舞伎第一部と二部を見物。
第一部は、
「義賢最期」
「浅妻船」「山帰り」「近江のお兼」
第二部は、
「怪談 牡丹灯籠」
「団子売」
という演し物。

何と言っても「怪談 牡丹灯籠」。配役もほぼ満足。
いつもは、あまり好きでない三津五郎さんと福助さんが、イイのでびっくり。
福助さんの何が好きじゃないかというと、カンの声がキンキンし過ぎだから。ところが、この「牡丹灯籠」のお峰は、役柄のせいか低めの声で演じていて、それがまた、お峰のキャラクターにぴったり合っている。
三津五郎さんも、武張った役はどうももう一つ、小さくまとまったような感じに見えてしまうので、あまり好きではないのだ。
「牡丹灯籠」では、前半の貧乏くさーい伴蔵と、後半の、地元で一番の荒物屋の旦那、どちらも良かった。
一幕目で、幽霊のお米が訪ねて来ると聞いて、押し入れに隠れるところの、お峰と伴蔵とのやり取りが、落語になっていて、笑える。

勘九郎さんは、三遊亭圓朝ともう一役、ご馳走で馬子久蔵。
一幕目では、船頭が船から降りて、ツカツカっと出て来るので「アレ?」っと思っているとそれが勘九郎さんで、まわり舞台を使った転換の間に、勘九郎さんも舞台の上で着替えて、噺家の姿になる。
この辺りのスピーディーで、見た目も楽しい演出は、さすが。
二幕目のごちそうで、馬子久蔵で登場すると、多分アドリブと思われるセリフを連発。福助さんのツボにはまったらしく、笑いをこらえるのに苦労する福助さんが、カワイイ。良きところで本筋に戻ると、そこからはまた、しっかり者の女房・お峰さんをイキに演じていらした。
ちなみに、このお峰の衣裳が、わたし好み。一幕めの貧乏な時に着ていらした、花柄を絞りで染めたゆかたに焦げ茶の帯も、二幕目の絣模様のきものに格子の帯も、「イイなー」のよだれモノ。

お露の勘太郎さん、お米の吉之丞さん、幽霊になってからの仕草が面白い。でも、勘太郎さんは、キレイだし、吉之丞さんは、この人以外では出せない味がある。