行って良かった「大江戸世話談義」(2)

また、「落語家だってことで、年のわりには江戸のことなんかを知ってるだろうということで、呼んでいただいたんだと思うんですけど、はっきり言って、落語家江戸のことなんて、ぜんぜん研究してません。関西に米朝師匠という方がいらっしゃいますが、あの方ぐらいじゃないでしょうか?」
などと。「実は、この時点で予定の時間を大幅にオーバーしてます。佐藤さんの顔色がどんどん変わっているので、気付いたお客さんもいらっしゃいますよね! でも、わたしは時間を引き延ばさなきゃいけないんです。なぜなら、わたしの師匠の談志がまだ来ていないんです!」
この一言で、納得。高弟!の談春さんとしては、談志師匠がいらっしゃるまで、つながなきゃならないわ、伸ばし過ぎたらまた、談志師匠がご機嫌を損ねちゃうわで、スタッフの「家元登場!」サインを今か今かと待ちながら、座をもたせることを考えていらっしゃったというわけだ。

しばらくソワソワ状態が続きつつ、いつもの”談志師匠話”では笑わせていただきました。
前座の頃に、志ん朝師匠とお蕎麦屋さんに入った時のこと。2、3品イキなおつまみを頼んで、お酒を召し上がっていた志ん朝師匠に、「〆はどうしましょうか?」と談春さんが問うたところ、考えること5分! 「このことは誰にも言うんじゃないよ。どうしても、お腹が空いているから、カレー丼」と、あの志ん朝師匠が、前座のわたしに向って5分悩んでやっと、おっしゃったんですよ。蕎麦屋というのは、そういうところなんですね。
そこへ行くと、うちの師匠は、蕎麦屋に何回か一緒に行ってますけど、いきなり「たぬきうどん」ですから。

毒蝮さんの話に突っ込みをいれつつ、やっと「家元到着!」のサインが出たのは、表情ですぐにわかりましたよー。とたんに「もう、大丈夫です。談志が楽屋に入りました」と言ったとたんに、毒蝮さんが、さっきの話を蒸し返そうとされるのを、押しとどめる談春さんという構図は、イキの合ったギャグとして、笑わせていただきましたです、はい。

せっかくなんで、童門先生に伺いたいんですけど、江戸っ子はなぜ、小さいものが好きなんですかね? 粋だって言われるのは、だいたい小ちゃいものじゃないですか? という質問を談春さんから。