”いつもの本屋”で買った、大切な1冊(2)

もちろん、弱点もあった。京極夏彦さんの「京極堂シリーズ」のような、1冊が分厚い本は
新刊の時こそ文庫の棚に平積みされていたが、棚挿しはなかった。新書のノベルスもあまり充実してはいなかったから、舞城王太郎さんの本などはちょっとタイミングをずらしたら、ここでは見かけなかった。
しかし、そういうある意味”どこでも手に入る”本ではない、ここでしか出会えない本に随分出会わせてもらった。他の本屋では見逃してしまっただろうという本を、ずいぶんここで見つけて、読むことができた。

そんな、この本屋さんとの別れを間近に控えた今日、たった1冊だけの『花の志ん朝』を買うことができたのも、何かの縁だろうと思い、帰りの地下鉄の中でさっそく読み始めた。
内容も期待通りで、きっと大切な1冊となるだろう。