濃密な1対1の関係が結ばれる、世にも稀な空間(1)

”落語三昧週間”最終日は、立川談春独演会。

マクラで「ここでしゃべったことは、そのまま書かないように!」とクギを刺されてしまった。「書くのなら、脚色するように」と言われても、わたしには面白おかしく脚色する能力はないので、お言葉に従って、沈黙を選ぶことにした。まさか、こんな番外地まで出張ってはいらっしゃらないだろうが・・・。そういうことなので、マクラは省略。
ただ、一昨日大騒ぎしてしまったので、お怪我のことだけ簡単に。
9月7日の談志・談春親子会の終演後、山台から下りる際にやってしまったそうで、骨折したかと思って病院へ行ったら、捻挫と診断されたそうだ。でも、もう3週間近く経っているのに、まだ相当痛そうで、左足を常にかばっていらっしゃった。足のことがあってか、三越落語会に続いて、黒紋付に仙台平の袴姿。ずーっと、談春さんの紋付袴姿を拝見してみたいな、と思っていたので、そういう意味ではラッキーだった(「不謹慎だ!」と怒らないでくださいねー!)。
何はともあれ、くれぐれも無理はなさらず、早く直してくださいませ。

最初は、予告通り「宿屋の仇討」(ちなみに、ここまでで20分くらい経過していたような気が・・・)。
江戸っ子三人組が騒ぐところ、侍が伊八を、手を叩いて呼ぶところの、そのたんびの変化、三人が「隣のお侍が怒っているから騒ぐな」と釘を刺されてから、人を殺して金を奪って逃げた話を小声でするところ、などなど、まず、ディテールが絶妙。
お侍が、いよいよ怒って「江戸っ子三人組を逃がしたら、この宿の者も残らず殺すぞ!」と伊八を脅すところの迫力と、伊八のビビった様子に、思わず客席で「このあと、どーなってしまうのか?」と固唾をのんでしまった。珍しく、予習しようなどと殊勝なことを考えたら「読まなきゃ良かった!」の落げで、ガっクリしたのだが、自分の物覚えの悪さが幸いしたというよりは、談春さんの吸引力が強かったので、ワクワクドキドキを最後まで持続。
それでもやっぱり初回だけは、この落げは談春さんの噺を聞くまで、知らずに居たかった・・・。