紬に呼ばれました

浅草の帰りに、ギャラリー川野とくるりに寄ってみたら、くるりでまたまた、運命の出会いが・・・。
改装後初めて行ったくるりは、ちょっと店内が広くなって、鏡も増えて、男物コーナーが新しくできている。
金子さんが「あー、その大島、お召しになるとやっぱりいいですよ! 帯もぴったりだし」と褒め上手。棚に帯揚げや帯締めといった小物を置くスペースもできて、探していた江戸紫の帯揚げがあったので、しばらく小物談義。するとそこへ、姐さんスタイルの森田さんが登場。きものと帯と半襟がもう、これ以上無いぐらいのベストコーディネート。「おお、なるほどねぇ」と言うと、金子さんが「そうくるか!っていう感じですよね」と、絶妙のコメント。
「わたしを呼んでいる子はいますかねぇ?」とうかがうと、ちょうどカウンターの上にたたんだばかりの、縞の紬を「これなんか、いいんじゃないですか?」と言われたが、ちょっと着こなすのが難かしそうだな、とためらっていると「ああ、あとこれこれ」と棚から出してくださったのが、久米島絣?という芥子色のきもの。
「これは、久米島じゃあないんだそうですけど、いい紬ですよぉ」とのこと。
たまには、黒っぽくない紬!なんてちょうど思っていたのを見透かされたよう。
でも、見るからに高そうなので、プライスを確認すると「やっぱり!」のお値段。「ウーン、すっごくいいけど、お値段が良すぎですよ、これは」と、一旦は諦めて、他の棚を物色。
いくつか気になるものがあって、広げてみたりしたけれど、やっぱり黒っぽくなってしまうし、身丈が短かったり、しみがあったりで、結局、件の絣に目は吸い寄せられる。
「羽織ったら、終りなんですよねぇ」とためつすがめつしてみたけれど、もう心は半分以上傾いている。「今日、あきらめても、結局明日になるとあきらめきれずに来て、売れちゃっていて、大ショック!になりそうなので、思い切っちゃおうかな?」といいつつ羽織らせていただく。
結果「これはやっぱり、わたしを呼んでいる!」ということで、お買い上げ。
久米島絣だったら、とてもこのお値段でも買えないんだから、と自分を納得させつつ、今月は骨董市はパスしようと、心に誓ったのだった。