「黄金餅」

先日から読んでいる、立川末広(立川流末広亭を足したような、ペンネームだ!)『談志の迷宮 志ん朝の闇』(夏目書房*1では、当然のことながら、談志・志ん朝の二人が得意な演目としていた「黄金餅」のことが出てくる。以前、作者である圓朝の「黄金餅」の速記を読んで、「志ん生師匠の速記とはずいぶん違うけど、誰がこんな風に変えたんだろう?」という疑問を持った。その疑問に対する一つの答えが書かれていた。
立川さんによれば、志ん生師匠が現在の「黄金餅」を確立したということになるのだけれど、圓朝志ん生師匠との橋渡しをしたのが、四代目橘家園蔵だという。
さらに、現代の道中付けを加えて演じていた談志師匠の「黄金餅」は、バブル期頃から現代の道中付けを加える演出をやめてしまったという。街並みの変化が激しすぎて、いちいち確かめに行かなければならなくなったからでは?ということだ。
そして「あたしもやっぱりくだびれた」という科白をを志ん朝師匠は言わなかったというが、談志師匠も言わなかったと、立川さんは記している。談志師匠の音源を聞いて確かめてみなければ・・・。

*1:『談志の迷宮 志ん朝の闇』ISBN:4860620216