八月納涼歌舞伎第三部@歌舞伎座

毎年八月恒例の三部制。去年は新作ものだったけれど、今年は夏らしく「四谷怪談」の通し。多分、昭和58年の玉三郎さんのお岩さまの通しを見て以来の「四谷怪談」(去年の七月に猿之助一座の「四谷怪談忠臣蔵」は見ているけれど、あれはまた別物ということで)。
先日、id:oui_et_nonさんも書いていらしたが、見ていて「え、ここで笑うか?」と思うようなところで笑いが来るのは、時代の変化なのだろうか? そのもっとも端的な例が、髪梳きのところ。別に、勘九郎さんが面白く演じているわけではないのに、櫛で髪を梳くたびに、笑いが起こる。なんでだろう? わたしは、全く笑う気にはなれないけどなぁ・・・。
今回は、時間の関係で三角屋敷がカットされているが、それを補う意味で、染五郎さんが舞台番の扮装で登場して、その辺りのストーリーを説明するのだが、PAを使っているのが、ちょっとどうかな?と。この解説自体も、扮装としゃべり言葉のギャップがある気がして、親切ではあるけれど、もうちょっと違うやり方があるのではないかと感じた。
蛇山庵室では、いろいろと仕掛けが用意されていて、客席からキャーキャーと悲鳴が起こる。
蛇山庵室は、玉三郎さんの通しでも見ていたはず(後で筋書きの上演記録を見たら、確かにこの場は出ていた)なのに、提灯抜けも、仏壇返しも、まったく記憶に残っていない。というか、蛇山庵室自体を見たという記憶がスッポリとぬけてしまっていたんだなぁ・・・と。
伊右衛門橋之助さん。久しぶりに見た気がするけれど、今まで見た中で、一番良かったかも。
宅悦の弥十郎さんは、左團次さんとはまた違った味があって、良かった。
うれしかったのは、小山三さんが元気に宅悦女房を演じていたこと。さすがにいい味を出していらした。
勘九郎さんは、大奮闘の早替わりでアっと驚かせつつ、浪宅ではお岩さまの心情の変化を丁寧に演じていらしたと思う。