漫画で知る日本近世史

時々、漫画が気になるのだけれど、何しろ本屋の棚の“土地鑑”がないので、探せない。そうこうするうちに、そんな漫画があるのをすっかり忘れてしまって、そのままになることが多い。

そんなわたしにここ数ヶ月、なぜかちょっとした“独り漫画ブーム”が訪れている。一時、月に2回刊行されている青年漫画誌を欠かさず買って読んでいた時期があったが、それ以来かな?

例えば、やまだないと西荻夫婦』、安野モヨコさくらん』、岡崎京子ヘルタースケルター』といった漫画を、本屋の棚で偶然見つけて手に取り、読んでみた。

そんな“独り漫画ブーム”にさらに火をつけたのが、みなもと太郎風雲児たち』(リイド社)。

以前に一度、気になったのだけれど、その時はご多分にもれず、探し出せずにすっかり忘却の彼方に去っていたこの漫画。今回は、Amazonで注文して、立て続けに読んでいる。

タイトルからこの作品の内容を類推することができず、検索してみたらどうやら時代ものらしいということはわかったけれど、届いた1巻の表紙を見て、ちょっと失敗したかも?と思った。ところが、読み始めてみると、これが、今まで断片的に知っていた、近世史の出来事が「そうだったのかぁ」と結びついてくると同時に、それぞれの史実の時系列があやふやだったところも、頭の中をきちんと整理できる。

今年の大河ドラマが、幕末を舞台にしているせいか、あちこちで幕末ネタを目にするけれど、その時なぜそういう事件が起きたのか?という疑問に答えてはくれても、それらの出来事の根っこにあるのは、実は関ヶ原の戦いに端を発した、長い長い時間を経てなお、衰えなかった外様大名たちの恨みなのだ、ということは、『風雲児たち』を読んで、初めて知った。

時代小説や歴史小説をそうたくさん読んでいるわけではないので、実際には、その辺をきちんと踏まえ、かつストーリーの中に取り込んだ作品に出会っていなかっただけなのかもしれないが、少なくともわたしにとって『風雲児たち』に出会わなければ、まだまだ当分知らなかっただろうということが、次々に出て来て、まさに“目から鱗”状態なのだ。

もちろん、漫画なので、懐かしいギャグや流行が鏤められていて、それについての脚注ならぬ“ギャグ注”が巻末にあって、これを読むのも楽しい。

遅ればせながら、漫画の面白さ、日本の近世史の面白さ、両方に目覚めた今日この頃なのだった。