にっかん飛切落語会スペシャル@イイノホール

仲入り

  • 「母恋くらげ」 喬太郎
  • 「読書の時間」 三枝

今日は、なんといっても後半戦、特に喬太郎師匠に尽きます! 三枝師匠も面白かったけれど、すっかり喬太郎師匠に食われてしまった感が・・・。
喬太郎師匠は、主任が三枝師匠だから、古典でくるかなぁ?と勝手に推測したのだけれど、マクラの最後の方に、お魚のペットショップの話題を持って来たので「もしや、母恋くらげ???」と思ったら、ピンポーンだった。そもそも、ネタに入るまでのマクラが、お馴染みの池袋ネタだったのだけれど、面白すぎ。何度聞いても、このマクラはよくできている。さすがオリジナルもお得意の師匠だなぁと。また、客席の半分くらいはこのマクラヲ知っていて、半分位は知らないのかなぁ?という状況で、非常にノリがよくて「こんな漫談でそんなに笑ってもらっていいんですか?」と、喬太郎師匠がおっしゃるほど。
いつも思うことだけれど、テンションの切り替え、登場人物のしゃべり分けがすごく上手いので、その対比の面白さが、ネタの弱点もブッ飛ばしてしまう。途中、仲入りで「船徳」が出たことを受けたアドリブもあって、ずっと笑いっぱなしだった。本当は、このネタは、蔵之助くんが電気を放出するところあたりから、ホロっとするんだと思うのだけれど、そこがバカ受けしすぎたツケがまわってきてしまったかなぁ?と考えると、ちょっと惜しい。もちろん、途中で「古典じゃなくてすみません」というお決まりのセリフもあった(笑)。袖に引っ込むまで、身振りを続けるサービスも。
それを受けて、くらげの身振りで出て来た三枝師匠。「東京の落語会に出していただくと、皆さん古典をキッチリなさるので、私はとてもやり難いんですが、今日は大丈夫です。東京であんな落語を見たのは、初めてです」と最初に。本当は、こういう状況の方が、よりやり難いのではないかな?と思うのだけれど・・・。マクラは、言葉のギャグを積み重ねて行くもので、最初はヨン様来日に引っ掛けて、韓国語。続いて、中国語、フランス語、イタリア語などを使って「なるほど〜」と思わせるギャグをやり、最後に大阪弁。多分、ヒザが喬太郎師匠じゃなかったら、もっと客を掴めたと思うのだけれど、もう一つ掴み切れていない感じ。そして、夫婦の会話から始まるネタに。
営業マンのご主人が、本棚に挿しておいた『龍馬が行く』がない、というのが、話の発端。実は、息子の学校で、読書の時間という授業が始まったため、小説など1冊も持っていない息子が、本棚から抜いて、学校に持って行ったらしいとわかり、慌てるご主人。この本の中味は、実は会社の後輩に「今、流行りですから、読んでおいた方がいいですよ」と渡された小説。そうとは知らない息子が、読書の時間に、教師から朗読を命じられて・・・というネタ。
初めて聞いたネタなので、演題がわからないけれど、奥さんから「ヘソクリでも挟んであるの?」と怒られるあたりから、学校で朗読しているシーンなど、目に浮かんできて、大いに笑わせていただく。喬太郎師匠、三枝師匠、昇太師匠、志の輔師匠のオリジナル(の一部?)は、ありふれた日常の中から「ああ、わかるなぁ」とか「ああ、そういうこと、あるある」と思えるネタを膨らませて行くというのが面白いのだけれど、目の着けどころや、その膨らませ方がそれぞれ違っていて、そこがそれぞれの個性。今、古典と呼ばれている落語も、出来た頃はきっとこんな感じだったんじゃないかなぁ?と思うのだが。
そういえば「鯛」というネタでも、鯛の身振りをするところがあったよなぁ・・・。あれって、三枝師匠の作だったっけ?
今日の前座の駒春さんは、三代目三木助師匠のお孫さんとのこと。そういえば噺家になるべく、どなたかのところに入門されたというのは、何かの折りに聞いたなぁと、自己紹介を聞きながら思った。ネタに入ったばかりのところこそ、ちょっと危ない感じもあったけれど、だんだん調子が出て来ましたね。精進してください!
初めて生の落語を聞いた楽太郎師匠。すごく大胆な縞のきものに、ちょっとびっくり。髪の毛も思いっきり立てていらしたし(笑)。多分、こちらも初生高座だと思われる夢之助師匠は、時々「歌丸師匠の声と語り口に似ているのでは?」と思ったのだけれど・・・。全部じゃなくて、ある特定の音域になると、歌丸師匠に似ているのでは? 
多分、これまた生は初めてのナポレオンズさん。背の低い方の人は、ほとんどしゃべり専門なんだ・・・。染之助・染太郎師匠みたいなスタイルなんだ・・・。