『あくじゃれ』

諸田玲子あくじゃれ―瓢六捕物帖 (文春文庫)』を読了。飄六という長崎の目利き上がりの色男と、八丁堀の堅物でさえない同心・弥左衛門がさまざまな難事件を解決するという捕物帳。ただし、飄六は強請りの首謀者と目されていて、大牢に入れられているのだけれど、弥左衛門の上役が、彼の目に着目、御用があると牢から出して、探索させるというのが、この連作短篇の骨子。長崎で通詞をしていた飄六が、幕府の御用で江戸に上るが、なぜか勤めを辞めてしまい、博打打ちとなる。その辺の詳しい事情は、明かされないまま、ひとまず幕。飄六の女が辰巳芸者で、いい女なのだけれど、押しが強いのと悋気が強いのが玉に瑕。弥左衛門と下っぴきの源次は、彼女が苦手。しょっちゅうやりこめられている。最初はお互いに反目しあっていた飄六と弥左衛門だけれど、事件を一つ解決するたびに、お互いに信頼感が育まれ、最後にはすっかり“仲間”として信頼しあうようになる。
捕物の面白さというよりは、飄六と弥左衛門、そして彼らを取り巻く様々な人々の関わりを読む作品だろう。すでに、続編も単行本では出ていて、北上考二氏は、こちらの方も絶賛している、実は、こっちの書評を読んで、まずは最初の物語を知らないと、ということで読んだのであった。
弥左衛門の恋の行方、飄六が抱える謎は、これから明かされて行くのであろう。ウーン、文庫本化が待ちきれないかもしれない・・・。

こんちき あくじゃれ瓢六

こんちき あくじゃれ瓢六